青物名人作、ため息のでるような美しさ。
この米ざるの1本1本丁寧にとられた竹ひごも、薄く表皮を削った磨きの口巻きも、ふっくらと丸みを帯びた使い勝手の良さそうな深さのある形まで、ため息のでるような美しさ。青竹で仕上げる竹細工を「青物」とよびますが、さすがこの道一筋の青物の名人。いつまでも眺めていたくなるような惚れ惚れする米ざるです。
米ざるとは
精米したお米はすぐに米びつにいれると味が落ちるので、この米ざるにいったん入れて冷ましてから入れるのです。造り酒屋さんで蒸したお米を運んだりするのにも使われていたから昔から米ざると呼んでいます。名前は米ざるですが、洗ったお皿やお茶碗などを入れる食器かごや、野菜の水切りざるなどにも重宝する、便利なざるです。
抜群の水切れの秘密
米ざるの竹ひご取りが始まります。シャーシャー、シャーシャーと刃物を膝にあてて、手際よく竹ひごを引いていきます。竹ひごが角を面取りされてかまぼこ状のひごにすることにより、水切りがよい竹ザルとなるのです。
一番強い竹表皮
凄みすら感じる熟練の米ざるを手にして底面を見ます。青々として規則正しく並んだ編み目が続きます。竹は表皮部分が一番丈夫なところです。米ざるは、その竹表皮を残して編み込まれます。
名人の竹ざる
自分で山に入り、お気に入りの竹を選びます。竹ばかり密集した竹林より、このあたりの雑木林の中に点在する竹が性質もよく使いやすいと言います。山だしした青竹を荒割りし、ヒゴにとり、米ざるはじめ、椀かごや野菜かごに編み上げる、数十年来ずっと続いてきた匠の仕事です。
小魚の泳ぐ透きとおった清流につけているのは口巻き用の若竹。若い柔らかい竹を選んで細工に使っていくのです。
「明治7年6月と書かれていた。」
同じ青物細工をされている職人さんが言われた話を思い出します。その方のおじいさんが作ったという米ざるが古くなったと言うので、使ってくれている農家さんのところへ、新しいものを作って持っていった時のことです。その古くなった米ざるを見ると、墨字で大きく「明治7年6月」と書かれていたそうです。それは農家さんが、ざるを買った年月日を書き入れていたとの事だったですが、大切に使えば竹ざるはそれだけ長く長く愛用できる生活の道具だと思うのです。この米ざるも、年月を経るごとに青々とした色合いは落ち着いた色目に変わっていき、深みと風格のある竹ざるへと成長していきます。
おもわず時間を忘れて見てしまう
ずっとそばに置いておきたくなる、そんな竹ざるです。口部分を両手で持ってみて、裏返して編み目を眺めてみて、触ってみて、なでてみて思わず時間を忘れてしまいます。昔はどこのご家庭にも普通にあったであろう竹ざる。この国にずっとあった伝統の技、本物の竹職人の仕事をお伝えすることができる幸せ。ひざの上の米ざるを見つめながら、竹ってつくづく素晴らしいと思うのです。
竹輪
米ざる内側の口部分には薄く表皮を削った竹輪がはまっています。口部分の竹編みにお米などが目詰まりしないための先人よりの工夫です。あまりにもガッチリとはまっているので何かで留めてあるのかと思うくらいですが、実は竹の弾力だけで突き合わせているだけ。年数とともに乾燥して変化する竹の特性まで考えてあてがう匠の技です。
2枚並べた縦ひご
幅広の縦ひごを2枚ならべておき、細く面取りした横ひごで目をきっちりと詰めて編み込むゴザ目編み。整然とならぶ見事な編み込み、単調な編み目だからこそ職人の技量がより問われるのです。
4サイズからお選びいただけます
天然素材を手作りしておりますので、形や色目、大きさが写真と若干違う場合があります。
※お手入れ方法
お手入れはサッと手早く水洗いして完全に水分をふき取ったあと直射日光をさけて風通しのよい場所で十二分に乾燥させてください。浸け置き洗いや食器洗い機などのご使用は絶対にお避けくださいませ。
※保管方法
保管の際には直射日光を避け、風通しの良い場所でお願いいたします。ビニール袋など通気性の悪いものにいれての保管はカビの原因となりますのでご注意ください。
※細い竹の毛羽立ちが出ている場合がございますのでお取り扱いにはご注意ください。