虎竹×染色作家
かわいらしい緑がのぞく石垣を歩いていくと、そこにはまるで山野草の楽園みたいに庭があり思わず時間を忘れてしまいそうな縁側のある工房で今日も静かに草木染めとむきあう染色作家の西峯久美さん。十数年来のお付き合いの中で初めて虎竹を染めに使ったのは何気ない一言「竹の葉も、やさしい良い色に染まるきねぇ」野鳥のさえずりが聞こえるのどかな昼さがり、竹の葉がしおれないように青々とした新鮮なうちにと届けたら、虎竹染めづくりがはじまります。
日本で唯一 土佐の虎斑竹(とらふだけ)
「虎斑竹(虎竹)」は淡竹(ハチク)の仲間に分類され、高知県須崎市安和の虎竹の里でのみ、稈の表面に虎模様が浮かぶ不思議な竹です。この模様は、幹に付着した寄生菌や潮風の作用によるとの学説もありますが、科学的には未だ解明されていません。実際に各地方に移植を試みましたが、何故か模様が付く事はありませんでした。
明治44年、当時日本最高の植物学者達が絶滅寸前の虎斑竹の保護のために、建白書を時の政府に提出しました。これが今日の天然記念物条例発布の導火線となり、天然記念物保存法が発令され虎斑竹はその第一号の指定を受けたのです。
イギリスBBC放送も取材に来た「ミラクルバンブー」
左の写真が、自然に生えている状態の虎竹です。この虎竹をガスバーナーで炙り、竹自身から出る油分で拭き上げると右の写真のように虎模様がはっきりと浮かび上がります。この珍しい虎竹(Tiger Bamboo)を取材するためにイギリスBBC放送までもが虎竹の里を訪れ神秘的な虎竹に「ミラクル!」を連発されていました。
竹職人達の想いが繋ぐ虎斑竹
竹は秋から1月下旬までが伐採のシーズンです。虎竹もこの期間に一年分をまとめて伐ります。竹職人達は急勾配の山道を運搬機と共に分け入り、一日中重たく長い竹を切り運び出すのです。そして、大きさや品質で選別したのち、ガスバーナーによる油抜き、矯め直しという製竹作業を行います。一本一本の個性を最大限に生かすために、熟練した職人の手で竹を炙り、まっすぐに矯正されるのです。こうして製竹された虎竹が、様々な竹製品へと生まれ変わります。
虎竹染めができるまで。
染液づくり
まず竹の葉についた汚れやホコリをとるため水洗いします。汚れを落とした竹の葉をタンクにいれ、タップリの水を注いで火をかけて沸騰させます。沸騰したらザルでこし染液(せんえき)とします。
豆乳描き
布地を専用の竹の道具をつかって固定させ、筆を使い豆乳で図柄を描きます。色づきがよくなるように1~2週間乾燥させます。写真は虎竹染め手ぬぐいに図柄を描いているところです。
布地の染色
染める布地かるく水洗いし、染液の中にいれて火をかけ10~15分間よくかき混ぜながら煮染めします。染めた布地を取り出し水洗いし、煮だし液の色素が定着し色が鮮やかにするため媒染剤(アルミ媒染)をえらび布地をいれます。約10分間程度たった後、よく水洗いしさらにもう一度染液の中にいれ、煮だし液がさめるまでかき混ぜて染め付けます。布を取り出し水洗い、色落ち止めのため塩水に5分程度浸けて、また水洗いしてから干します。
竹虎ゴールド
虎竹染めは竹虎ゴールドと言う人もいるような鮮やかでやさしい黄金色に染め上がります。
一枚、一枚手描き
白い布地に豆乳で絵や文字をいれるのは描いた絵などか見えづらく難しいのです。豆乳で描かれた部分は染め付けの工程で鮮明に浮き上がってきます。
サイズ
天然素材を手作りしておりますので、形や色目、大きさが写真と若干違う場合があります。
※ご注意ください
虎竹染めは自然の竹の葉で染めた草木染めです。塩をつかい色止め加工をしていますが、洗濯や直射日光等により色落ちしますのでご注意ください。
※お洗濯は中性洗剤を使い、陰干ししていただきますようお願いします。
※写真は同じ製法の虎竹染め手ぬぐいです。