めでたい宝船
亀井竹龍斎作の虎竹をつかった大作です。その迫力満点のこのサイズの作品は竹虎にも1点を残すだけです。高さが175センチにもなる非常に大きな作品にもかかわらず、細かなところにも一切の妥協のない丁寧で緻密なつくりに驚きます。ただあるだけでその存在感に圧倒される宝船ですが、中央部分には銅板をいれて、花活けや料理の演出にもお使いただけるようになっています。
作品名「出船」
出船は門出を祝うという思いを込めながら厳選した虎斑竹をふんだんに使用して製作されています。船の側面のヤタラ編み、帆の部分のゴザ目編みなど色々な技を駆使し今にも風を受けて帆をはり揚々と水平線をめざしてこぎだす様がいきいきと表れた作品だと思います。作家、亀井竹龍斎さんの思い浮かべた海はどんなだったでしょうか…。
日本で唯一 土佐の虎斑竹(とらふだけ)
「虎斑竹(虎竹)」は淡竹(ハチク)の仲間に分類され、高知県須崎市安和の虎竹の里でのみ、稈の表面に虎模様が浮かぶ不思議な竹です。この模様は、幹に付着した寄生菌や潮風の作用によるとの学説もありますが、科学的には未だ解明されていません。実際に各地方に移植を試みましたが、何故か模様が付く事はありませんでした。
明治44年、当時日本最高の植物学者達が絶滅寸前の虎斑竹の保護のために、建白書を時の政府に提出しました。これが今日の天然記念物条例発布の導火線となり、天然記念物保存法が発令され虎斑竹はその第一号の指定を受けたのです。
イギリスBBC放送も取材に来た「ミラクルバンブー」
左の写真が、自然に生えている状態の虎竹です。この虎竹をガスバーナーで炙り、竹自身から出る油分で拭き上げると右の写真のように虎模様がはっきりと浮かび上がります。この珍しい虎竹(Tiger Bamboo)を取材するためにイギリスBBC放送までもが虎竹の里を訪れ神秘的な虎竹に「ミラクル!」を連発されていました。
竹職人達の想いが繋ぐ虎斑竹
竹は秋から1月下旬までが伐採のシーズンです。虎竹もこの期間に一年分をまとめて伐ります。竹職人達は急勾配の山道を運搬機と共に分け入り、一日中重たく長い竹を切り運び出すのです。そして、大きさや品質で選別したのち、ガスバーナーによる油抜き、矯め直しという製竹作業を行います。一本一本の個性を最大限に生かすために、熟練した職人の手で竹を炙り、まっすぐに矯正されるのです。こうして製竹された虎竹が、様々な竹製品へと生まれ変わります。
匠の技が折り重なる逸品
船首部分のあしらいも作家独特の工夫が光ります。ヤタラ編みで美しいラインにととのえた本体側面部分も見事な仕上がりです。
竹の縄
竹の表皮部分を使って竹の縄を編み上げています。作家の力量の高さを物語るかのように宝船にはこの竹の縄が多用されていて作風のひとつの特徴ともなり、細部にもこだわる思いが伝わるようです。
サイズ
天然素材を手作りしておりますので、形や色目、大きさが写真と若干違う場合があります。
※非売品です
当社には、たったひとつだけ残る亀井竹龍斎作の宝船。このような大迫力のサイズは他では見たことがない貴重なものなのでお売りすることはできかねますが、是非見ていただきたくてページに掲載させていただきました。