虎竹のある暮らし
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竹虎1985





朝のキリリとした空気と潮風の香る神戸の港で、写真付きの竹虎年賀状が始まりました。1985年、自分が大学4回生の時でした。全国各地に散らばる友人・知人に、その一年間がどうだったのか?新しく迎える一年をどうしたいのか?そんな事を一枚の写真で表せたらいいなあ、言葉で書くよりも伝えやすいのではないかと考えたのです。ちょうど写真をポストカードにるすサービスが始まった頃だったようにも思います、写真屋さんで作ってもらったポストカードを、今度は印刷屋さんに持ち込んで「うん、元旦だ。」と刷ってもらいました。

「なんや学生さん、もう少し早く持ってこなアカンでえ」

年末に印刷屋さんが忙しいと言う普通に考えたら当たり前の事も分からない脳天気な学生生活は年を明けると終わってしまうのでした。






学校の行き帰りには、うずたかく積み上げられた竹の山に登ったり、腰掛けて話したり、近くに落ちている竹の小枝でチャンパラしたり、思えば小さい頃から竹と言えば、虎模様のついた虎竹であり、いつもすぐ近くにある身近な存在でありました。すぐ目の前の海で釣りをする時には、竹はしなりのある釣り竿として使うし、山に入って猟師さんのごとく遊ぶときには、弾力のある弓矢にもなる。万能素材の虎竹と自然に囲まれて、スクスクと大きくなっていったのでした。














明徳から大学まで色々な出会いと別れがありましたが共通しているのは全国各地から集まった同年代の仲間達という事。自分は卒業したら高知の田舎に帰ってしまうし、他の友人達とも会う機会も少なくなるだろう...。 しかし、せっかくのご縁をなくしてしまうのは寂しいし、きっと何かで又繋がることもあるはず。せめて一年に一度の年賀状で自分の近況報告や、これからの事を伝えていこう。そう思ったのが写真付き年賀状を始めるキッカケとなったんです。



どんな写真で送るか?これが大きなテーマとなりました。せっかくだから楽しく、面白いものにしよう。しかし...頭を悩ませた結果、当時のタバコのポスターを真似る事にしたのです。藤 竜也さんという役者さんが港でタバコをくわえ「うん、マイルドだ。」と、コピーの書かれたキャスターというタバコのポスターでした。




学生時代は、アルバイトがなければ昼夜の逆転したような生活でしたのであんな早起きしたことはありませんでした。まだ暗いうちに起きだし、電車に乗って向かったのは神戸港。藤 竜也さんのポーズを思い出し何枚も何枚も撮影していきます。今のようにデジタルカメラではありません。その場で確認できる事もなく、とにかくひたすらシャッターを押してもらった記憶があるのです。






明日の元旦には、皆の元に始めての写真付き年賀状が届くと思うと、何やらドキドキワクワクしていた事を思いだされます。そんなに沢山の数を印刷してもらったワケでもないのに、印刷所のおじさんも本当に良くしてくれて一つの形にしていく事の面白さを知った年賀状でもありました。

「いよいよ卒業して社会人か...。どんな一年になるのか楽しみにしながら食べた年越しそばの味は今でも忘れれん。最高の味わいやったぞね。」




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