シダ編み籠
シダ編み籠は、シダの茎を使い編み込んだ昔ながらの生活道具のひとつとして使われてきた籠です。水に強く丈夫な事から食器を洗った後に乾燥させる食器籠として多用されてきたほか、最近では洗濯籠としてもご紹介させて頂き人気となっています。
シダの特性
まるで硬質のプラスチックのような素材感だけあって、水や湿気につよく水回り使いには最適のかごとして重宝されてきました。使うほどに味わい深く、何十年とご愛用頂けます。
近くの山に自生するシダ
シダは、山歩きなどに出かけても普通に自生している身近な植物の一つですが、昔から生活道具のひとつとして籠編みの素材として使われてきました。シダ編み籠には粘りのあるウラジロ科のコシダを使います、昔からシダの茎が節もなくスッーと長く真っ直ぐに伸びて、その表皮は磨きでもかけたかのようにツヤツヤと綺麗で手に触れた感触もすべすべで独特の山の素材だと思ってきました。
猿捕茨とシダ
シダの伐採は10月から4月末まで、雪が降ると粘りが出ると言われます。自然のシダですから大きさも様々、茎の長さや太さで編み上がる籠のサイズが決まってしまいますので材料集めが良質の籠づくりには欠かせません。秋に赤い実をつける猿捕茨(さるとりいばら)の近くには伸びの良いシダがあると職人は話します。
シダ編みかごの釜上げ
集められたシダ材は専用釜で2時間程度煮たてます。柔らかくなったシダ材を更に手で入念にしごいて、しなりと粘りのある素材にしていく工程は力の必要な大変な手仕事です。熱湯処理した後、乾燥しないように保存した材料を1~2週間の間に籠に使いきります。その期間を過ぎると硬くなって籠に編めなくなりますが再び熱湯処理をすると柔らかくなるものの今度は耐久性が低くなるので多くの職人は2週間でシダを使い切っています。
シダ屋
実は自分の小さい頃まではシダ屋さんという専門に商売をする店があったと言います。虎竹の里から車ですぐの小さな漁師町久礼にも2軒の店舗があり、虎竹の古里である焼坂の山は大きなシダが育っていたことから伐採に来た事があると聞いたこともあります。高知県だけでなく県外では大きな問屋さんもあって海外輸出もされていたほど一般的な生活用品としてシダ籠は流通していました。
失われた技
古くから日本では茶碗籠や洗濯籠として広く一般のご家庭で使われてきたシダ編み籠ですが、取扱いの難しい素材としても知られプラスチックの登場と共に暮らしの中から姿を消していきます。山から伐採してきた素材は釜上げされて時間が経つと硬化してしまうため一気に編み込む必要がありますが、自然素材で決まったサイズが安定供給できない事や熟練の職人不足などが重なり次第にその技は失われていったのです。
幼い日の記憶
幼い頃のお客(隣近所が集まる宴席)ではシダ編み籠は現役で活躍していました。大きな食器籠が沢山の洗い物の水切理カゴとして使われていたのです。祖母の使っていた古いシダ編み籠を手にしながら、日本の伝統の技であり、山の幸を活かしてきた先人の思いを繋ぐ身近で素朴なシダ籠を、もう一度思い出していただきたいと願っています。日本の美しい里山から生み出されてきた手仕事の籠は、自然と共存してきた先人の生き方を知ることそのもののようです。
匠の技、二重編み
シダ編み二重脱衣籠の最大の特徴が二重の編み込みです。外側と内側の編み込みの違いをご覧いただきますと一目瞭然、これだけ手のこんだシダ編み籠は竹虎にもありません。
縁部分
シダを数本ずつまとめて編み込んだ縁部分は、がっしりと重厚感のある造りになっています。持ち運ぶ際にも手を掛けられるので とても便利です。
底編み
シダ編みかごの底は、何本ものシダの茎をかさねて交差した編み込みになっていて堅牢そのもの。もともと重たい食器類を入れるのに使っていたので耐久性を考えた作りになっているのです。高さがあるので通気性にも優れています。
シダと語る、山の恵み
シダ籠の材料は全て山まかせです。どんなに大きなシダ編み籠が作りたくても、良質の素材がなければ作ることはでません。山に入り、シダと相談しながら編み上げる山の恵みなのです。
洗濯籠として最適
大きなサイズのシダ編みかごは、お洗濯ものを入れるランドリーバスケットとしてお使いいただくのにピッタリです。やさしい卵型のフォルム、色艶なども素晴らしいのですが何と言ってもシダ特有の滑らかなヒゴは、衣類をひっかけたり、傷める心配がありません。
サイズ
天然素材のシダの長さや性質をそのまま活かして編み上げていますので、サイズ表記は目安とお考えください。大きさ、形や色目が写真と若干違う場合があります。また製法や職人の手によって編み目が多少異なる場合もあります。
※保管方法
保管の際には直射日光を避け、風通しの良い場所でお願いいたします。ビニール袋など通気性の悪いものにいれての保管はカビの原因となりますのでご注意ください。