日本唯一の虎竹和紙を使い、特別に虎をあしらった縁起物のはりこ虎を製作しました。
和紙の風合いを活かすように表面塗装をかけず、素朴な感じに仕上げた可愛い置物です。

あまり明るい世情とはいえない昨今ではありますが、千里を走ると言われる虎のように勢いのある毎日をおくりたい、そんな思いを込めて製作していただきました。ぜひ、実りある暮らしを祈願して飾っていただきたいと思っています。

「虎の子」という言葉があるように虎は子供をとても大切にすると言われます。張り子虎は虎のように元気で健やかな子供の成長を願い、昔から端午の節句の縁起物として愛用されています。こちらの工房でも一年中、はりこ虎の製作に大忙し。創業明治初期といいますから明治27年創業の竹虎よりも歴史のある工房なんです。

代々使われてきた木型は時代を感じさせるように真っ黒ですが、その時々の職人さんが大切に愛情こめて使われてきたことを感じさせます。こちらの工房のかけがえのない財産ともいえる木型に和紙を貼り、乾燥させてから木型を取り出します。

大小様々なサイズの張り子を作られていますが、この中でも今回は一番小さな手のひらサイズの張り子をお願いしました。

のりに浸した和紙を何枚も何枚も、丁寧に木型に貼り付けている作業を手際よく進める職人さんの手が、あんまり綺麗なのが印象的でした。

虎斑竹（虎竹）は淡竹（ハチク）の仲間ですが、表面に虎皮状の模様が入っているところからこう呼ばれています。この模様は幹に付着した寄生菌の作用によるとの学説もありますが、全国でも安和の虎竹の里でしか成育しない不思議な竹です。

イギリスＢＢＣ放送が取材に来られた時には「ミラクル！」を連発されていた神秘的な虎竹。高知市五台山には命名の父である世界的植物学者の牧野富太郎博士ゆかりの牧野植物園があり、こちらに虎斑竹を移植しています。これまでも各地に移植を試みたものの何故か虎模様が綺麗にできず虎斑竹になりませんでしたが、やはりこちらの牧野植物園でも美しい虎模様はできていません。まさにミラクルバンブー、虎斑竹は安和の風土が育んだ山の幸なのです。