芸術品のような宝石箱
渡辺先生の工房にお伺いしたのは、夏の盛りでした。創作されたばかりの宝石箱を慎重に慎重に、そ~っと手にすると、それはそれは可愛くて愛らしくて「一体こんな素敵な宝石箱を使われるのは、どんな幸せな方だろう?」「何をいれられるのだろう?」想像しているだけで楽しくなるような逸品でした。
幸運をよぶ六角形
実は風水の好きな人に聞きますと確か六角形は幸運を呼ぶ縁起のいい形といわれているそうです。先生の作品としては珍しい形の上蓋をおそるおそる開けてみると、さすがこの世界では右にでるものがいないと言われる渡辺先生ならではの丁寧な仕上げに感服します。
健康・長寿・幸福のシンボル
上蓋の上にちょこんと鎮座しているのはカタツムリ。なんでも京都の工芸作家の方に頼んで創作していただいた銀製です。すばらしく良く出来ていると感心していると「ヨーロッパの方でも縁起が良いと言われるみたい…」と先生。実はカタツムリって人気者のようです。
網代編みの巨匠 渡辺竹清
昭和 7年 竹芸師・清の次男として生まれる
昭和41年 「竹清」を襲名
昭和53年 日本伝統工芸展入選
昭和54年 有名宝石店T社専属デザイナー エレザ・ペレッティ女史と出会う
昭和58年 日本工芸会正会認定 伝統工芸士に認定
竹に新たな命を与える
まさに、網代編みの巨匠という名にふさわしい渡辺竹清氏。網代編み(あじろあみ)では右に出る者はいないと言われる最高峰の技術で、100年経った煤竹を編み上げる究極の技。伝統的な技が、竹に次の100年を生きる新たな命を吹き込んでいきます。
長い時間が育む煤竹
煤竹(すす竹)は、古民家の囲炉裏の煙でいぶされた竹の事です。茶褐色の色目はいぶされて自然についたもので、縄目には色が着かずに残ったものもあります。中には100~150年も前の竹もあり茶道具などにも珍重されますが、現在では囲炉裏のある家屋がありませんので今後、ますます貴重な素材なのです。
以前京都のお取引先さんのところに立派な煤竹(すす竹)がおいてありましたのでお値段を聞いてみると、なんと1本100万円との事に驚きました。そんなわけで古い民家を壊すと聞きますと、県外までトラックを走らせて竹をいただきに行くこともあるのです。
無理を言って譲ってもらった逸品
作品を目にした夏には後ろ髪をひかれる思いで帰ってきましたが、どうしてもまた一目拝見したくて、後日船に乗り一晩かけて会いにいきました。桐箱から出していただいた宝石箱を久しぶりに手にすると、日ごと募っていた思いの何倍ものオーラを作品から感じてしまいます。どうしても手放したくなくなり先生に無理を言って譲って頂くことにしたのです。
実は先生の手元にはちょっとサイズの違う2点の作品がありました。でも、その時の僕にはどちらか1点を選ぶというこはできなくて結局2つともお願いして頂くようにしました。こんなに僕の心をガシッと、わしづかみして離さない宝石箱です。皆さまにも是非ご覧いただき知ってほしい、そしてきっと心から喜んでいただけると確信しています。
サイズ
天然素材を手作りしておりますので、形や色目、大きさが写真と若干違う場合があります。