ほどよい足裏の刺激
素足に健康、竹皮ぞうり
―竹虎
ときどき素足で道を歩きたくなる。土を踏みしめると、微妙な凹凸や温度が足裏を通して伝わってくる。あの感触が懐かしい。夏の間は家の中でも、素足のままでいたいと思う。でも、かたく絞った雑巾で乾拭きされたお寺の広縁のような、手入れの行き届いた床ならいざ知らず、わが家の板の間は湿気でじとじと......。
素足のままの心地よさ、それでいて、いつもサラサラ快適でいられるはき物はないものか、探しているうちに見つけたのが「竹皮健康ぞうり」。創業明治27年、日本で唯一の虎斑竹(とらふだけ)専門サイトを運営する「竹虎」の製品である。
虎斑竹というのは、虎の皮に似た独特の模様が表面に出るもの。高知県須崎市安和の近辺でしかとれない、世にも珍しい竹だという。
もともと竹皮は、ちまきやおむすびなど食べ物の包装用に使われていたように、天然の抗菌作用があるそうで、防腐剤、防カビ剤、着色料などいっさい使わず、山から採れた自然のまま。稲藁や藺草のような残留農薬の心配もない。伐採して3年間寝かせて、ギッシリ目の詰まったぞうりに編み上げる。機械で型押しをしない手づくりだ。ぞうりの芯、鼻緒(表は木綿)、前ツボ(親指で挟むところ)には地元産の藁が使われる。
竹皮ぞうりは、藁ぞうりのように藁クズやほこりが出ないし、水にも強くて丈夫。足裏がべたつかず、ほどよい刺激が心地良い。冬でも不思議と温かいという。
「高知の小学校では、30年ほど前まで竹皮ぞうりが上履きに使われていたんですよ。一時下火になりましたが、最近では全国の幼稚園からの注文も増えています。鼻緒で指を開くことが外反母趾の予防や矯正に役立つこともあって、30代から60代の女性の人気が高いですね」(サイト運営管理責任者・竹虎(株)山岸竹材店4代目・山岸義浩氏)
竹皮ぞうり以外に、土佐つむぎベルトのつっかけ式など、多様なスリッパタイプも。家庭や職場で履いてもパタパタと音がせず、長く履いていても疲れないと好評だとか。筍から親竹と同じ大きさまで3カ月しかかからないほど成長が早く、いくらとっても毎年生えてくる無尽蔵の資源、竹を見直すなら足元から。
「何やらやいっぱい載っている」竹虎のサイト。独特のメルマガも好評だ。
(雑誌「Fole 2004年8月号」より転載)