竹で整える
<快>日々さわやかに整える、竹の効用。
竹は見た目の涼しさだけでなく、暮らしの素材としてもさまざまな効用があるようです。
さらりとした肌触りの心地よさに加え、抗菌作用も。
こうした抗菌性に加え、竹皮や竹自体が持つさらりとした感触も魅力で、最近では竹皮で編まれた履物や、竹のフローリングなども人気を集めているようです。
「うちの商品では、「竹のすのこ」が人気です。玄関で靴を脱ぎ、素足で踏むときの感触がたまらないのでしょう」(竹製品を販売する「竹虎」専務・山岸義浩さん)
・マッサージ効果もある竹皮健康ぞうり。
・黒竹玄関すのこは、素足になることが多い夏のシーズンには快適。
<健>秘められた、竹の力を暮らしに活かす。
最近人気がブレイクしている竹炭や竹酢液。空気や水の清浄効果や保温効果など、その秘められた竹の効用は、暮らしの中のさまざまなシーンに活用できます。
細かなフィルター構造で汚れや臭い、有害物質を吸着。
空気や水をきれいにするなどの効用で、備長炭に並ぶ人気を集めている竹炭。その効果の秘密は独特な構造にあります。
竹は、炭にすると根から水分や養分を吸い上げる導管という管などが炭化収縮し、内部がごく細い管の充満状態になります。さらにその管の中に細い管ができることで、内部は非常に目の細かい管を束ねたフィルターのような構造になります。これにより内部の表面積は、竹炭1gあたりなんと300平方メートルにもなるといわれています。
この竹炭のフィルター構造には、空気や水の汚れ、臭い等を吸着する作用があり、水に入れたり部屋に置いておくだけで水や空気を浄化・消臭する効果を発揮します。実際、新潟薬科大学の及川紀久雄助教授も、論文で「ホルムアルデヒドやトルエンなどの化学物質の除去にも竹炭は効果的」と発表。シックハウス症候群にも効果があるとしています。
また、竹炭は一度汚れなどを吸着しても、天日に当てれば再生できるので、繰り返し使うことができます。
・植物成分から作った石鹸に炭を混ぜた炭せっけん。吸着力と肌にやさしい洗浄力で余分な皮脂を包み込んで洗い流すので、さっぱりすべすべ。
竹炭ができるまで。
1、炭化のバラつきをなくすため、割り揃えて3ヵ月間自然乾燥。
2、奥の方から1束ずつ、ていねいに窯の中に詰めていく。
3、窯入れから2週間かけて焼き、精錬してから窯出し。
4、炭にすると元の重量の10分の1ほどの竹炭になる。
(雑誌「ハーモネート 2003年夏号」より転載)
水をまろやかにし、腐敗も防ぐ竹炭は、夏の飲み水や炊飯に活用。
また、そもそも竹炭をはじめとする炭は、弱アルカリ性~アルカリ性。菌類は弱酸性を好むため、炭類には元々抗菌作用があります。なかでも竹炭は、活性珪酸という強い抗菌力を持つ成分を含むため、他の炭より抗菌効果が高いといわれています。
さらに、竹炭の天然フィルター構造は水道水に含まれる塩素も吸着。塩素とくっついていた水の分子をより小さく分解することで、水自体の口当たりをまろやかなものにしてくれます。また、水分子を小さくすることで沸騰時間も短縮。ご飯を炊く際なども、むだな加熱時間が減らせることで炊き上がりがよりふっくらし、いわゆる「お米が立つ」状態にすることができます。炊飯器でご飯を炊く場合は、水かげんをして、竹炭を1合につき1、2片入れればOKです。
・米1合に対し、5分ほど煮沸した竹炭を1片(約10g)程度浮かべて炊飯器のスイッチを押す。ふっくらしたおいしい炊き上がりが楽しみです。
・流水で洗い、5分間煮沸した竹炭を1リットルの水に50g程度入れておくとミネラル成分も溶け出し、まろやかに。
いやな臭いも解消。さらに、湿気まで調整する竹炭の効果。
加えて、先にもふれたように竹炭の微細なフィルター構造は、空中や水中のいやな臭いなどを吸着する作用があります。たとえば、繊維製品についた臭いの消臭試験結果を見ても、「消臭効果が高い」といわれる備長炭に比べ、竹炭の方がさらにすぐれていることがわかります。そのため、タバコやペットなどの臭いがついてしまった衣類のそばや冷蔵庫の中などに竹炭を置いておくと、しみついた臭いも早く消臭することができます。こうした竹炭の消臭効果は、天日干しで復活させることができますので、ある程度の時間をおいて定期的に干すようにしましょう。
また、竹炭のすぐれた吸湿性と放湿性もよく知られているところ。
竹炭も竹酢液もお風呂に使えば体の芯からポッカポカ。
さらに、「炭を湯船に沈めておくと体が温まる」といわれます。これは高温で焼いた炭が放出する遠赤外線効果によるものです。また、竹炭とともに最近人気を呼んでいる竹酢液も、お風呂に入れると同様の保温効果を発揮します。この竹酢液は、炭を炭化させるときに出る煙を冷やして採集したものですが、話題のポリフェノールなどの有益成分を含み、殺菌消毒作用もあるといわれています。これら竹に秘められたパワー、暮らしに活用したい自然の力といえそうです。
・竹酢液ができるまで。
1、竹酢液は、竹炭を焼く過程で出る煙を冷やして採集。
2、80℃~150℃になった煙を管に通して液化。
3、採集した液を1年間寝かして、タール分を除去。
4、まるでウーロン茶のような透明感あるあめ色が特徴です。
(雑誌「ハーモネート」より転載)