有名ショップのSEOを大公開 達人の一手
今月のポイントランディングページからの購買促進
検索サイト経由ユーザーは、必ずしもトップページにアクセスするとは限らない。すべてのページをランディングページと想定し、顧客を逃がざない工夫を施しそう。
Pickupサイト
(株)山岸竹材店(竹製品の製造・販売)
山岸竹材店は創業111年、明治時代から続く老舗竹材店だ。本社工場がある高知県須崎市安和でしか生育しない「虎斑竹(とらふだけ)」を用いた竹家具や竹雑貨などを、主力商品として取り扱っている。
「虎斑竹」でGoogle1位なのはもちろん、「竹」でも3位を確保
ガスバーナーで焙ると、虎模様がくっきり浮き出てくる「虎斑竹」。高知県須崎市の安和という地域にしか育成せず、世界的にも珍しい竹とされている。この虎斑竹をはじめ、各種竹材を用いた家具や雑貨等の製造・販売を手掛けているのが、明治27年創業の山岸竹材店だ。
同社がネットショップ「竹虎」を本格スタートさせたのは、2001年5月のこと。地元の産業振興センターで開催されているEコマースの勉強会を通じてネット通販の基礎から学び、独自ドメインのショップのほか、楽天市場やYahoo!ショッピングへも出品。現在では、ネット上だけで平均月商600万円に達するなど、事業を完全に軌道に乗せている。
SEOにも早くから取り組んでおり、検索順位(Google、1月末現在)は「虎斑竹」で1位のほか、「竹炭」や「竹酢」といった人気キーワードでも、10位以内をキープ。さらには「竹」という漢字1文字でも、何と3位を獲得している。検索エンジンからのトラフィック誘導を、高いレベルで達成しているサイトだ。
竹虎のSEO技
ランディングページの充実で、顧客の購買意欲高める
検索エンジンを経由してWebページに訪れるユーザーは、必ずしもトップページに最初にアクセスしたわけではない。場合によっては、商品カテゴリのトップページであったり、希望する商品の紹介であったりする。そのような考え方を前提として、検索キーワードごとに顧客が"着地(ランディング)"するページを想定。コンバージョンレート向上に結びつけるページ作りをするのが、LPO(ランディングページ最適化)という手法だ。じつは「竹虎」のサイトで、検索順位以上に注目してほしいのは、各商品ページがランディングページとして優れた特性を持っている点。その主なポイントは右記の通りだが、虎斑竹をはじめとする商材の持つ魅力を効果的に伝えつつ、見込み客をできるだけ逃がさない。そんな工夫が随所に施されているのだ。ランディングページの充実は、内部リンクの最適化やテキスト量の増加によるキーワード出現頻度の向上など、SEOにも結びつく。余裕があればぜひチャレンジしよう。
ランディングページ商品を買わせる3要素
(1)顧客満足度の高い商品情報が充実
検索エンジン経由で商品ページを訪れたユーザーを満足させるだけの豊富な情報量を盛り込んでいるのが、竹虎の魅力。このことはユーザビリティの向上だけにとどまらず、結果的に、商品ページにおけるキーワードの出現頻度の増加、ひいてはSEO効果につながるのだ。
(2)買い物カゴの設置
ユーザーを逃がさないためには、コンバージョンに至るまでのクリック回数を最低限にしたい。ランディングページに買い物カゴを設置してしまえば、クリックの必要がなくなり、顧客離れを防げる。
(3)決済、セキュリティ情報の掲載
顧客がネットでの買い物時にもっとも気にするのは、その店の信頼性。会社概要やセキュリティ、決済方法といった情報も、ランディングページに盛り込むか、ランクを目立つ位置に設置しよう。
「商品別」だけでなく、「シーン別」ナビの設置で、内部リンクを充実
「竹雑貨」と聞いて、具体的な商品をいくつも思い浮かべられるのは、恐らく少数派のはず。そこで役立っているのが、生活シーン別のナビゲーションだ。竹虎では「キッチン」「健康グッズ」「入浴グッズ」「快眠グッズ」など、取扱商品を、日常の生活シーンに即して分類。一般的な商品ジャンルごとのナビゲーションに加え、「生活シーン別」のナビゲーションも設置しているのだ。こうしておけば、どんなユーザーでも、お目当ての商品を探しやすくなる。その上、たとえば「竹」という検索キーワードでフラっと立ち寄った"一見客"に対しても、商品をより身近な形でアピールでき、顧客が思いも寄らなかった竹の魅力を伝えられるに違いない。
さらに竹虎では、Webページの上部に「●竹皮 草履(ぞうり)・スリッパ>竹皮草履と5本指ソックスのセット」といった具合に、現在アクセスしているページの位置を示す「ブレッド・クラム・ナビゲーション」(パンくずリスト)を設置している。商品ページからカテゴリページへの誘導がスムーズになるばかりか、内部リンク充実の効果も期待できる。
生活シーン別のナビゲーションを設置することで、顧客に対し商品の活用法を提案できる。
(雑誌「月刊ネットショップ&アフィリ 2006年3月号」より転載)