年商1億円ショップのはじめの1個~私の新時代~
初注文......開店から3年以内
売れた商品......虎斑竹繊維入りオリジナルハガキセット
年商1億円を売り上げるネットショップも、新人時代は数々の苦労を重ねています。今回は、3年でたった300円だった売り上げから飛躍したショップのお話です。
竹炭、竹酢液、竹皮ぞうりの販売
竹虎
山岸義浩さん
やまぎし・よしひろ◎1894年に創業された「竹虎」の4代目。「生まれたときから、この店を継ぐと考えていました(笑)」という虎竹のプロフェッショナル。経営ポリシーは、虎竹を全国に知ってもらうこと」。
希少品種・虎斑竹は、なんと天然記念物第1号。高知県安和には、その竹林が点在する。「僕も収穫時には、林まで出向いて配送を手伝います」と山岸さん。
「虎竹を世界に広める」との想いも、3年間は売り上げたった300円。
″一念発起″したきっかけとは?
世界でも高知県の安和にしか生育しない「虎斑竹(とらふだけ)」、通称・虎竹。この虎竹を使ったぞうりや石けんなどの製造から販売を行う『竹虎』は、創業111年の老舗。4代目の山岸義浩さんは、1997年に開設した会社紹介のサイトの一角で、ネット販売をスタートしました。
「火であぶると虎のような模様が出る虎竹は、独特の風合いと柔らかさが特徴。イギリスのBBCが取材に来たほどです。知ってさえもらえれば、日本はおろか、世界でも通用すると思ったんです」
しかし、虎竹の知名度は決して高くはなく、販売開始から3年間で売れたのは、なんとハガキセット1組だけ。売り上げは300円でした。
「当時はネットでの売り方も知らず、ほとんど放置した状態でした」
あまりの注文の少なさから、「ネット販売をあきらめようと思ったこともあった」と山岸さん。しかし、2000年7月に転機が訪れます。
「何気なく参加したセミナーで『これからの時代は本物、女性、ITが売れるポイント』と聞き、ウチだ!と確信したんです(笑)」
世界唯一の虎竹、健康志向の女性に人気が高い竹製品。「竹虎」は、その条件にピッタリでした。ただ、ITは放置状態。そこで山岸さんは、 「ネット販売に本気で取り組んでみよう」と、ネットショップのノウハウを学ぶため「e商人養成塾」に入塾しました。塾長は、ネット販売で大きな実績をもつ「イージー」の岸本栄治さん。彼の言葉に、山岸さんはさらに″本気度″が高まります。
「商品が売れないと悩んでいた自分に、『ネットで買い物をしたことがありますか』と言われたのです。たしかに、自分は買ったことがない。そんな基本的なことに改めて気づかされ、自分の甘さを痛感しました」
Tシャツや生活用品をネットショッピングし、サイトのレイアウトや商品の梱包など、必死で研究する日々が始まりました。しかし、1年がたっても月商は10万円以下です。
「虎竹に対する″想い″が伝わってなかったと思います。それで2002年2月、スタッフに任せていたサイト運営を、虎竹をいちばん知る自分がすべて行うことにしました」
店の仕事を終えた夕方5時から夜中まで、一人で作業する毎日が続きました。その結果は、じょじょに売り上げとして現れ、同年5月には月商16万円。竹製品がもっとも売れる6、7月に一気に売り上げを伸ばし、この年は年商2000万円を突破。その後も順調に伸び続け、現在は年商1億円を見込んでいます。
「必ず売れると信じていましたから、売れるためにいいと言われたことはとにかく地道にやりました。ネット販売が繁盛したのは、そんなシンプルなことだったんです」
「虎竹の里炭せっけん」などリピーターの多い生活用品は、ネットでセット販売を実施。
年商1億円に到達するまでの9年間の歩み
実店舗の商品数は約6000点。ネット運営の担当スタッフは、増員した。
・3年間の売り上げ300円(1997~2000年)
ネットショップ閉店の危機から、「本気モード」への転換
・売上2000万円(2001年~2002年)
地道な運営作業の積み重ねと、楽天市場への出店
・年商4000万円(2003年)
楽天市場が繁栄。月商100万円を突破する
・年商7000万円(2004年)
各メディアの取材を通じて、売り上げがさらに伸びる
・年商1億円(2005年)
8月にYahoo!ショッピングへ出店。ついに年商1億円に到達
(雑誌「インターネットでお店をやろうよ! 2005年冬No.11」より転載)