自然の恵みを技と心で磨き上げた土佐の手仕事。
この道五十年余の職人が竹をより美しく
黒竹の深みのある色合いが独特の雰囲気の竹虎の縁台。20年以上前からの定番商品です。竹は中土佐町久礼産の黒竹と須崎市安和の虎斑竹、黒竹を結ぶのは旧西土佐村のかずら、脚部は県産ヒノキの間伐材と、まさに純メイドイン土佐。純和風の庭でなければマッチしないかと思いきや、以外とモダンテイストの空間にしっくりと落ち着くデザイン。庭だけでなく、玄関先やリビングに置くのもいいかもしれません。座面の細い黒竹が持つクッション性で、座り心地も快適です。
この縁台に使われる黒竹を加工しているのが、この仕事を始めて50年以上という古谷年明さん(78歳)。仕事場を訪ねると、作業の真っ最中。黒竹をガスバーナーであぶり、節の曲がりをまっすぐに整えていきます。熱が加えられた竹からは油がにじみ出て、つややかに光り始めます。
矯め木と呼ばれる専用の道具を操り、くいっ、くいっっと竹のわずかな曲がりを整えていきます。無造作なようで、微妙な力加減にしないと竹はまっすぐに仕上がりません。道具類はすべて手製。その使い込まれた佇まいが、歳月をかけて練り上げられた技術を物語ります。
竹製品の現場ではこの他にも、竹の伐採などさまざまな職人技に支えられています。でも残念なことに、その後継が途絶えつつあるのも事実。竹の良さを改めて見直すこと。それが、この素晴らしい手技を残すことにつながるのかもしれません。
(松田さやか)
(新聞「月刊高知朝日新聞 2005年10月号」より転載)