社員のやる気アップに
山岸 義浩さん(56) 竹材メーカー社長 須崎市安和
「竹は奥深い。書きたいことがいっぱいある」
山岸義浩さん(56)は〈30年毎日更新!〉と銘打ったブログを、この14年間書き続けている。始業前や出張先でも、竹の基礎知識や商品、人との交流について写真や動画を添え、思いをつづっている。閲覧数は日に約3千人という。
須崎市安和地区にのみ自生する虎斑竹を加工販売する老舗「竹虎 山岸竹材店」の4代目。米ニューヨークでの竹バッグ展示や、電気自動車を竹で覆った"竹虎自動車"など、ユニークな話題を発信。新聞にも何度も登場してきた。昨年は、竹で編んだ流線型の四輪車に、竹の甲冑姿で乗り込み、スペインの坂下りレースに出場。これまた多くの注目を集めた。
こうした竹細工を作るのは同社の職人で、山岸さんは「アイデアは伝えるが、どう実現するかは職人次第」。職人たちは作り慣れた日用品とは違う難しい作業に頭を悩ませ、商品を作る手が止まることもある。それでも、きちんと仕上げてくる。作品が紙面で紹介されると、うれしい反響が届く。そうした声を本人にも伝えている。
「作り込んでいるから『すごい』と言われる。人に喜んでもらえることが、職人のやる気になっている」
エネルギッシュな活動を支えるのは、竹への愛だ。これまで出会った若者の中には、竹林に入ったことがない、青竹踏みになじみがないという人もいたという。だから「言葉にしないと誰もわからない」ブログのほかにも、ツイッターなどで幅広く外部に向けて発信する。竹を語る時、目の輝きがぐっと増す。
取材時も紙面をめくり、地域面に掲載された写真に注目。映り込んだ竹製品に「これ、うちのかも」と声を弾ませた。
(新聞「高知新聞 2020年2月3日」より転載)