虎斑竹でレースカー
須崎市の竹虎 スペイン「坂下り大会」へ
【須崎】須崎市安和の竹材メーカー「竹虎 山岸竹材店」が、地元特産の虎斑竹で車体を覆ったユニークな四輪車が27日、完成した。8月、スペインで坂道を下る「ボックスカートレース」に出場する予定で、山岸義浩社長は「直線でも、曲げても使える竹の特性をヨーロッパにPRしたい」と話している。
日本の伝統産業PR
レースは、スペイン北部・ビトリアの街中で、数百メートルのコースをエンジンのない手作りの車が走って競う。
出場のきっかけは、昨年8月にメキシコで開かれた「世界竹会議」での出会い。山岸社長は、現地に三輪電気自動車を竹で覆った"竹虎自動車"を持ち込み、披露した。「かっこいい」と興味を示したのが、レーシングカーの元デザイナーというスペイン人男性。ビトリアのレースにも出場経験があり、山岸社長も出てみないかと誘われた。
帰国後もやりとりは続き、エントリー手続きも代行するという男性の熱心さに、山岸社長も「人生の出会いを大事にしたい」と挑戦を決めた。今年2月には一緒にビトリアの会場を下見した。
車の骨格は金属製で、2年前に国内の坂道下りレースに出場した岡山科学技術専門学校(岡山市)から運よく譲り受けることができた。4月から職人たちが竹の外観を手掛けた。
流線型のボディーは、熱で曲げた割り竹で製作。竹同士をひもで等間隔に固定する技術は、ニューヨークでも展示した「竹バッグ」の応用という。サドルやハンドルも竹を編んで覆った。
「竹が注目される写真や映像を見れば、若い職人の自信にもなる。日本の伝統産業を伝えていきたい」と山岸社長。創業125年と新元号を祝い、車は「REIWA125号」と名付けている。
(新聞「高知新聞 2019年5月28日」より転載)