縁台
竹虎の「虎竹縁台(折り畳み式)大」。全国でも高知県須崎市安和でしか生育しない幻の虎竹をいちばん力のかかる両側面に使い、中央部には黒竹を使用。結束補強には四万十川上流域のカズラと、こだわりの一品。折り畳みも驚くほどスッキリと可能で強度充分。
縁台
日本人の五感にうったえる、くつろぎと交流の空間
縁台は家の内と外の境を外す不思議な家具だ。街角のバス停でも、縁台が置かれるだけで招かれているような気がしてくる。しかし招いてくれてはいても、家の中まで入れてはくれない......。と、なんだか微妙なところなのだが、なぜだか和む。普通のベンチでは決してそんな気にはならないから不思議だ。
ここでひとつ仮説を立ててみる。縁台はそれを置く人が一方的に町と住人と自然に対して自分のテリトリーを宣言した庭、もしくは庭先のシンボルではないかと。つまり庭だからこそまねかれるきがするし、そこには家の中に入れるわけではない微妙な距離感が生まれる。そしてその庭は、決して囲われず、多くの人が出入り自由であり、それ故にお茶の一服や、将棋に囲碁、夕涼みや花火、晩酌などの楽しみの場に活用される。また空の様子、四季の変化、鳥や虫の姿といった自然の移ろいさえその空間に取りこむ魔法を発揮する。だから縁台には日本人の無意識において、免罪符が張られている。誰もが共有を許される場、そして豊かな自然空間へと誘う装置として。
そして縁台は"懐かしさ"さえ獲得し、現代では無敵だ。あらゆる場に溶けこみ、置く者とその隣人(ただの通行人さえもが含まれる)と自然との共有空間をつくり、幾多の人を和ませてやまない。
さて、そんな語り尽くせぬ縁台哲学と美術についてさらに探求するならば、まず自らの縁台を手に入れ、しかるべきところに設置し、隣人と自然との大いなる交流に踏み出すべきだろう。
竹虎/山岸竹材店
竹によるクラフトと製品が網羅されたバイタリティ溢れるWebサイト全体が驚異的。全国でも地元、安和でしか生育しないという幻の竹「虎斑竹(トラフダケ)」を主素材にした内容はたまらない。
竹炭
カゴにどかっと盛られた竹炭は部屋の置き炭用。消臭、調湿の効用を主に考えて、あえて低温で焼いたもので、硬度と比重が低いのでやや荒い姿になる。マイナスイオン効果などを期待するなら、1000℃の高温で焼いた、もっと固く、重い仕上がりの白炭の竹炭がある。竹炭の姿はインテリアとしても落ち着く。
竹炭
炭ブームの真打ち、表面積は備長炭の約3倍!
この数年、炭ブームと言いたくなるぐらいさまざまな形で炭製品が登場している。水にいい、炊飯にいい、お風呂に、配水管に、土壌にいい、さらに炭焼きの副産物の木酢液がいい......。限りなく広がるその用途と商品のバリエーションに感心するいっぽう、この2、3年増えてきた新顔が竹炭。じつはこれ、炭燃料としての利用のほか、先に挙げたような、万能な生活道具としての強力な実力が注目されている。
「竹炭を電子顕微鏡で見ると縦にも横にも通じる無数の穴があり、その表面積は竹炭1gで約700平方メートル、じつに畳420畳分もあります。これは備長炭の約3倍にあたります。そして竹炭に含まれるミネラル分は約5倍といわれており、これらの特徴が備長炭を上回る効果を発揮するのです」と解説するのは竹炭を扱う竹材の専門店「竹虎」。
さらに竹は生長が早く、資源的に豊富で循環性が高いと、いいところばかり。今後ますます利用率が高くなる要素がそろっているという。
竹虎では、焼くときの温度差によって変わる質で、商品アイテムを分類していて、使い方と値段によって竹炭を運ぶことができる。部屋の消臭や調湿に置き炭を使う場合は、400℃の比較的低温で焼かれた安い竹炭を大量に置くように勧めている。いっぽう、飲料用、炊飯用と入浴用には1000℃の高温で焼いた、固く重い白炭の竹炭が適していて、こちらは一枚づつ大きさもそろえた形で販売している。
個人的には、最近部屋の中にドーンと置き炭をして悦に入っている。竹炭の自然物なのに見慣れない、意外におしゃれな姿は、雰囲気的にもおもしろいうえ、部屋の結露も少なくなって快適だ。
竹虎/山岸竹材店
地元四国の竹材を使った竹の専門店。竹によるクラフトと製品が網羅されたウェブサイトは、ひとつひとつの商品に関して、これでもかと情報が公開されていて、すべてを見きれないほど。
(雑誌「良品活力」より転載)