朝日生命経営情報マガジンAsahi Business Club 11月号

雑誌掲載
老舗ものがたりのコーナーに竹虎が紹介されました。竹虎は伝統の竹細工を伝えながら、竹の特性を活かした製品開発にも取り組んでいます。竹の無限の可能性を信じ、竹文化の創造と発信に一層尽力してまいります。


老舗ものがたり

百年企業の知恵と戦略【第十九回】

創業明治二十七年 竹虎

百二十三年にわたり伝統の竹文化を創造・発信


初代が惚れ込んだ美しき竹「虎斑竹(トラフダケ)」



高強度で弾力があり、耐久性にも優れる素材"竹"。竹の加工は古く縄文時代から行われ、建築用材、日用品から楽器、武道の道具に至るまで、日本人はありとあらゆるものに竹を利用してきた。

竹虎は、古より受け継がれてきた竹細工の伝統を守りながら、新たな試みにも果敢に挑戦している高知県の竹材専業メーカーである。

同社の創業は1894(明治27)年。初代・山岸宇三郎氏が大阪市天王寺区で竹材商を興したのが始まりだった。質の良い竹材を探すため全国を行脚していた初代は、高知県を訪れた際、ある竹と運命的な出会いを果たす。その竹の名は、「虎斑竹」。高知県安和の、たった1.5キロという狭い間口の谷間でしか成育しない品種で、表面の茶褐色の斑紋が、まるで虎の模様のように見える竹である。初代は、決して近くはない四国まで仕入れのために足繁く通うほど、虎斑竹に魅せられたという。

やがて、二代目が戦争を機に安和へと店を移転。竹材のみならず竹製品の取り扱いも始め、三代目も順調に規模を拡大していった。ところが1980年代に入ると、日本人の生活スタイルの変化等の影響から、竹製品の人気に陰りが見え始める。


ネットを使い竹虎の製品を世界へアピール


そんな矢先の1984(昭和59)年、本社・本店が全焼するという大火災が発生する。第一発見者は当時大学生だった四代目だった。「誰かに呼ばれている気がした」という四代目が何気なく工場へと向かった時に、火事を見つけたという。

不思議な体験を経た四代目は、大学卒業後すぐに導かれるように家業へ入り、インターネットを利用した情報発信に注力した。HPを通じて虎竹の製品が多くの人々の目に触れるようになると、その魅力に改めて気づいたお客様から次々と注文が舞い込むようになった。

現在、竹虎が取り扱う商品はバラエティー豊かだ。虎斑竹の風合いが美しい竹ざる、竹かご、箸や弁当箱、キッチン道具、インテリア用品のほか、竹の特性を生かした竹炭や竹布、履き心地抜群の竹皮草履なども大変な人気を集めている。また、近年では竹バッグ『虎竹バッグ ニューヨーカー』が海外の展示会で大きな話題に。ユニークな新製品の開発にも積極的に取り組んでいる。

竹は3~4年で製品に加工できて、なおかつ抗菌性や消臭性などの機能性や食への活用、農業、畜産にも利用可能な素材として注目を集めている。竹の無限の可能性を信じ邁進する竹虎は、今後も業界を牽引するリーディングカンパニーとして、竹のように強く、しなやかに成長していくことだろう。


(雑誌「朝日生命経営情報マガジンAsahi Business Club 11月号」より転載)

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