シュロのほうき
昔ながらの便利な逸品
畳だけでなく、フローリングでも意外と便利なのがほうき。掃除機をかけるまでもなく、サッと気づいたらごみを掃けるのがとてもエコ。音も出ないのでご近所を気遣う必要もない。
いろいろな素材で作られたほうきがあるけれど、棕櫚というヤシ科の常緑植物で作られたほうきは耐久性がすごい。大切に手入れをしつつ使えば、二○年、三○年と長持ちする。棕櫚は水にも強く耐久力も優れているため、昔からほうきとして利用されてきたし、縄やマットの材料にも使われてきた。
もともとしなやかな素材なので、床を掃いたときのあたりがやわらかく、掃きムラもない。すみずみまでほうきの先が届いて、ごみやほこりを集めてくれる。ペットの毛のような集めづらいものでも、逃さず棕櫚の繊維がキャッチする。
長く使える道具で大切に掃除しなさい―そんな思いが込められた、かつては嫁入り道具の定番で、結婚祝いの贈り物にも使われていたそうだ。また、スギやヒノキの床を棕櫚のほうきで掃くと、棕櫚の持つ天然の油で艶も出るのだとか。
ほうきとしては少し値段がはるものの、長く使える優秀なグッズは掃除を楽しくやりがいのあるものにしてくれるはずだ。手ぼうきなどサイズ違いも販売されている。
(雑誌「潮 9月号 第691号」より転載)