竹細工自動車 高知から1000キロ
11日かけ走破し、竹の良さPR
竹の良さをPRしようと、高知県須崎市で竹製品を製造・販売している会社が、竹細工で電気自動車の車体を覆った車を作った。この車が11日、高知から約1千キロを走破し、横浜市青葉区に到着した。
車を作ったのは「山岸竹材店」で、山岸義浩社長(53)が11日間かけて1人で運転した。車作りが始まったのは約1年前。製作費を捻出するため、インターネット上で出資を呼びかけ、135人から約351万円が寄せられた。
最大の出資者は、以前から同社の製品を取り寄せていたという、同市青葉区の新聞販売所経営、広田実さん(63)。新聞の折り込みチラシで呼びかけ、約50人が賛同し、広田さんの分を合わせて100万円を出資した。山岸社長は広田さんに感謝の気持ちとともに同社の竹製品を届けるため、今回の試みに挑戦した。
ベースになる電気自動車は光岡自動車(富山市)製の2人乗り三輪。竹細工の職人が5人がかりで3カ月かけ、車体をヤタラ編みなどの技法で編み上げた。1回の充電で連続走行は約50キロ。四国から本州に渡るフェリー以外は、コンビニなどで充電を繰り返しながら陸路を走った。
各地の充電ポイントで様々な人に助けられたといい、山岸社長は到着後、「本当に走れるのか不安だったが、人の好意で走ってこられた」と1千キロの道のりを振り返った。竹製ランドリーバスケットを受け取った広田さんは「無事に着いてほっとしている」と感慨深げに話した。
(新聞「朝日新聞 2016年8月19日」より転載)