日本で唯一の竹トラッカー(電気自動車)
高知から横浜までやって来た
約1000キロをかけて自走
横浜市青葉区の廣田新聞店(市ヶ尾・合=廣田実会長)をゴール地点に、竹トラッカー(三輪電気自動車)にまたがり高知県須崎市安和(山岸竹材店・山岸義浩社長)を8月1日に出発。山岸社長は、廣田実会長に直接感謝の気持ちを伝えるために約1千キロを走破した。出発から11日目(山の日)の午前10時、地域住民約100人からの歓迎を受け廣田新聞店(写真)に無事到着した。
『チャレンジラン横浜 祝 完走 日本唯一の竹トラッカー 虎竹自動車プロジェクト 高知竹虎の里からようこそ横浜青葉へ』の横断幕が張られた中、歓声(お疲れさま)の拍手で迎えられ到着した。
日本で唯一の竹トラッカー(電気自動車)制作費は、昨年8月からインターネットで募るクラウドファンディングで調達。始めてから1年と11日目、山岸社長は竹トラッカーを廣田新聞店でお披露目することができた達成感と、お世話になった感謝の気持ちが入り混じった面持ちで声を詰まらせた場面もあった。特に暗い夜道などでは「最大の支援をしていただいた廣田会長をはじめ、皆さん方への感謝の気持を強く持つことで到着できました」と謝意を述べ、虎竹ランドリーバスケットを贈った。
廣田新聞店(横浜市青葉区)が制作支援
今回のクラウドファンディングを知った廣田会長が購読者にも折込広告で支援を募る
廣田会長は昨年12月と今年5月に現地を訪れ、虎竹の里で制竹作業を2日間体験をしたという。到着を待ち受けていた廣田会長は「今回のクラウドファンディングを知り、ご購読者様に折込広告を入れさせていただき声をかけさせていただきました。制作資金として預かりました皆さま方がたからの善意の気持と合わせて、廣田新聞店でも一部負担をさせていただきました。ありがとうございました。感謝申しあげます」と述べた。
そのうえで「無事に到着したことで安心しました。不規則で心身ともに休まることのない11日間であったと思います。まして単独の連続運転でしたが元気な顔を見てホッとしました。先般、実際に職人以外は立ち入ることのできない竹林に入ることができました。そのときに交わした言葉はお互いに『虎竹の自動車で東京銀座を走りたい』でした。私が左側の助手席で...」とジョークを交え笑いを呼んでいた。
竹トラッカーは、須崎市安和の一部で生育するトラ柄模様のトサトラフダケ(土佐虎斑竹)をボディーに編み込み、竹職人が悪戦苦闘しながら3カ月間かけて完成させた。虎竹細工は時間の経過とともに色合いが濃くなるという。
今回、高知県から横浜市までの間、一部区間の瀬戸内海でフェリーを利用する以外は、制作した山岸社長自身がハンドルを握った。1回の充電時間は約8時間、連続走行約50キロメートル。それゆえの心配事は電源の確保だ。
山岸社長は「人間の温もりと支援で走らせていただきました。箱根越えで暗闇の山道を登っただけで電源が乏しくなり、駐在所で充電させていただきながら小田原にたどり着きました」と道中のエピソードなどを語った。
(新聞「新聞情報2016年8月13日」より転載)