竹を日本一熱く語る
山岸竹材店(須崎市)の通販サイト
ただ者ではない、と思わせるサイトをインターネットで見つけた。黄色に黒のストライプのつなぎでブルース・リーにふんした男性が、竹のヌンチャクを手にこちらをにらむ。パロディーのサイトではない。創業明治二十七年の老舗、山岸竹材店(須崎市安和)の販売サイト「竹虎」だ。
「みなさん、ラッキーですよ。日本一竹を熱く語る竹虎四代目にあなたがめぐり会えたから」。そこでそう語る"ブルース・リー"の正体は、同店の山岸義浩専務。
このユニークなサイトがこのほど、日本オンラインショッピング大賞(EC研究所主催)の最優秀中規模サイト賞を受賞。竹に徹底した専門性やサイトの吸引力が評価された。
日本オンラインショッピング大賞 中規模部門で最優秀
超個性派の四代目
大賞のサイトは月商六億で、最優秀大規模サイトも月商四、五千万。
「うちは平均で五百万円くらい。何でうちみたいなのが選ばれたのか」と首をかしげながらも、「自分が楽しんでやってるところを評価してもらえたのでしょう。竹はありきたりの紹介法では注目されない。だから、自分の色で竹を紹介しています」
山岸さんは関西の大学を卒業後帰高し、家業の竹材店に入った。
「演劇をやってたこともあって、僕は商売人というより表現者。売るというより、こんなにえい竹をどーして知らんの、と言い続けてます」
安和の山でしか採れない虎斑竹(とらふだけ)。表皮に虎のような模様が浮き出る不思議な竹を広く知ってもらおうと、平成九年に通販サイトを立ち上げた。
「生きているのか死んでいるのか、分からないようなサイトで、三年間で売れたのは竹和紙のはがきセットが一つ。三百円。でも、「ネットで買う人はいるんだ」とは思いました」
県産業振興センターのe商人養成塾に入塾。そこで通販サイト指導の第一人者、岸本栄司さんと出会ったことが転機になった。
「岸本さんに「あんた、ネットで物買うんか」と言われたが、私自身はあまり買ってなかったんです。実際、自分で買うとどんな人が売っているのか気になる。値段より、店長が好きで買ったりする。ならば、売る側はサイトを人まかせにできんなと思って。写真撮影から画像処理、テキスト(文章)まで全部自分でやり始めたんです」
例えば、「この名刺入れの、この縫製を見てください」と訴え掛ける。すると、自分で接客しているという意識が生まれる。サイト運営で「テキストは命」だという。
コラムやクイズもちりばめて、週に三、四回発行するメールマガジン。特定の商品に興味を持ちそうな読者を絞ったり、発行時間にも気を使う。商品に対する客の声がすぐに返ってくるのがメールの良さであり、苦情も店の財産だという。
「都会では年配の人でも、竹のざるや竹草履の存在をすっかり忘れています。今、癒し効果で竹酢液が売れてますが、お風呂に液を入れたお客さんが、においで「昔は木で風呂をたいていたんだな」と思い出す。竹が都会と田舎を結び付ける。ネットがなければ生まれなかったつながりです」
感慨深げな山岸さんだが、竹の切り出しなどで山で泥だらけになって働く社員がいる一方、パソコンの前で遊んでいるようにも見えるだけに必死。試行錯誤の道のりだった。「来年の夏には月商二千万円を目指したい」と気を引き締める。
そんな山岸さんに、師匠の岸本さんは「受賞は地方で特産品を扱っている人たちに勇気を与えた。自信をもって商品を売り、「いいものを買った」と客も感動する。そんな商売の見本になっている」と"免許皆伝"を与えている。
(新聞「高知新聞 2003年12月17日」より転載)
山岸竹材店(須崎市)の通販サイト
ただ者ではない、と思わせるサイトをインターネットで見つけた。黄色に黒のストライプのつなぎでブルース・リーにふんした男性が、竹のヌンチャクを手にこちらをにらむ。パロディーのサイトではない。創業明治二十七年の老舗、山岸竹材店(須崎市安和)の販売サイト「竹虎」だ。
「みなさん、ラッキーですよ。日本一竹を熱く語る竹虎四代目にあなたがめぐり会えたから」。そこでそう語る"ブルース・リー"の正体は、同店の山岸義浩専務。
このユニークなサイトがこのほど、日本オンラインショッピング大賞(EC研究所主催)の最優秀中規模サイト賞を受賞。竹に徹底した専門性やサイトの吸引力が評価された。
日本オンラインショッピング大賞 中規模部門で最優秀
超個性派の四代目
大賞のサイトは月商六億で、最優秀大規模サイトも月商四、五千万。
「うちは平均で五百万円くらい。何でうちみたいなのが選ばれたのか」と首をかしげながらも、「自分が楽しんでやってるところを評価してもらえたのでしょう。竹はありきたりの紹介法では注目されない。だから、自分の色で竹を紹介しています」
山岸さんは関西の大学を卒業後帰高し、家業の竹材店に入った。
「演劇をやってたこともあって、僕は商売人というより表現者。売るというより、こんなにえい竹をどーして知らんの、と言い続けてます」
安和の山でしか採れない虎斑竹(とらふだけ)。表皮に虎のような模様が浮き出る不思議な竹を広く知ってもらおうと、平成九年に通販サイトを立ち上げた。
「生きているのか死んでいるのか、分からないようなサイトで、三年間で売れたのは竹和紙のはがきセットが一つ。三百円。でも、「ネットで買う人はいるんだ」とは思いました」
県産業振興センターのe商人養成塾に入塾。そこで通販サイト指導の第一人者、岸本栄司さんと出会ったことが転機になった。
「岸本さんに「あんた、ネットで物買うんか」と言われたが、私自身はあまり買ってなかったんです。実際、自分で買うとどんな人が売っているのか気になる。値段より、店長が好きで買ったりする。ならば、売る側はサイトを人まかせにできんなと思って。写真撮影から画像処理、テキスト(文章)まで全部自分でやり始めたんです」
例えば、「この名刺入れの、この縫製を見てください」と訴え掛ける。すると、自分で接客しているという意識が生まれる。サイト運営で「テキストは命」だという。
コラムやクイズもちりばめて、週に三、四回発行するメールマガジン。特定の商品に興味を持ちそうな読者を絞ったり、発行時間にも気を使う。商品に対する客の声がすぐに返ってくるのがメールの良さであり、苦情も店の財産だという。
「都会では年配の人でも、竹のざるや竹草履の存在をすっかり忘れています。今、癒し効果で竹酢液が売れてますが、お風呂に液を入れたお客さんが、においで「昔は木で風呂をたいていたんだな」と思い出す。竹が都会と田舎を結び付ける。ネットがなければ生まれなかったつながりです」
感慨深げな山岸さんだが、竹の切り出しなどで山で泥だらけになって働く社員がいる一方、パソコンの前で遊んでいるようにも見えるだけに必死。試行錯誤の道のりだった。「来年の夏には月商二千万円を目指したい」と気を引き締める。
そんな山岸さんに、師匠の岸本さんは「受賞は地方で特産品を扱っている人たちに勇気を与えた。自信をもって商品を売り、「いいものを買った」と客も感動する。そんな商売の見本になっている」と"免許皆伝"を与えている。
(新聞「高知新聞 2003年12月17日」より転載)