電気自動車のボディを竹で編み
高知県の竹材商が横浜行きの途中、沼津に
高知県須崎市で竹材店を経営する山岸義浩さんは、電気三輪自動車に竹で編んだボディを装着して横浜市に向かう途中の九日、沼津に立ち寄った。一日に須崎を出発し、道すがら沼津竹材センター・浅宮商店(蛇松町)に立ち寄り、旧知の浅宮義和店主を訪ねた。
山岸さんは百年以上続く老舗竹屋の四代目。虎模様を持つ日本唯一の虎斑竹(とらふだけ)を中心に竹材や竹製品を販売している。
「二人乗りの電気自動車に竹製のボディを装着し、お客さんを乗せて竹林に案内したい」と、クラウドファンディングに挑戦。出資者を募って約三百五十万円を集め、百八十万円で電気自動車本体を購入。従業員を含めた四人が三カ月がかりで製作に当たり、出資者には出資額に応じた竹製品を贈った。
横浜市へは、大口の出資者に虎斑竹で編んだカゴを直接届けるのが目的で、きょう十一日に到着の予定。
須崎市から横浜市まで約九三○キロの道のりで、電気自動車は最大時速五十キロ。一回の充電には家庭用電源で約六時間かかるが、「各地に長時間滞在することになり、事前に滞在地をホームページで公表しているため会いに来てくれる人もあり、多くの出会いがあった」という。
浅宮商店とは山岸さんの祖父の代から親交があり、事前連絡なしで立ち寄ったが、浅宮店主ら家族全員で出迎え、沼津港で昼食を共に。浅宮店主は平成二十二年、全国竹産業連絡会が三島市で開いた全国竹の大会で実行委員長を務め、山岸さんも同大会に参加している。
浅宮店主は「車に竹の洋服を着せるなんてあり得ない発想。よくぞ、ここまで完成させた」と驚き、山岸さんや電気自動車と一緒に記念撮影。
山岸さんは「五十キロしか出せないので交通量の多い都会の道路の走行は大変で、なるべく暗いうちに走った。雨が降らなかったのは幸いで、予定通りに横浜に着けそう」だと話し、次の充電ポイントである三島市に向けて出発した。
(新聞「沼津朝日新聞 2016年8月11日」より転載)