"動く竹細工"で横浜へ
高知県の山岸さん
自社製EV乗り、岡崎立ち寄る
高知県須崎市で竹製品を製作・販売する山岸竹材店の山岸義浩社長(53)が、竹を使って作った電気自動車(EV)に乗り、須崎市―横浜市間の約九百三十キロを十一日かけて走破する「虎竹自動車プロジェクト チャレンジラン横浜」に挑戦している。七日にEVのバッテリーを充電するため、岡崎市藤川町の道の駅「藤川宿」に立ち寄った。
山岸さんは、竹製品が日本人の生活の場から姿を消しつつあることを受け、あらためて竹の魅力や可能性を広く伝えようと、竹をPRする方法を考案。そこで、これまでにない"動く竹細工"として竹を使ったEV製作を企画した。
光岡自動車(本社富山市)の二人乗り小型三輪EVをベースに、材料の竹は須崎市内でのみ群生する表面の虎模様が特徴の「トサトラフダケ(土佐虎斑竹)」を使用。外装と内装に総延長二百メートルを超えるトサトラフダケを使い、竹ひごに加工して編み込んだり、幹の細い竹を並べたりと、伝統的な竹細工の技法を活用しながら職人四人が約三カ月かけて完成させた。一回の充電で約四十キロ走行可能で、コンビニや一般家庭などで充電しながら横浜市を目指している。
製作資金はインターネット上で募り、企画に賛同する百三十五人から計約三百五十万円が寄せられた。中でも同社の竹製品を愛用しているという横浜市で新聞販売店を経営する男性からは、百万円の高額出資があったという。
今回のチャレンジランでは、約九百三十キロの道のりを走破することで竹の実用性や新たな可能性を示すだけでなく、男性から注文を受けたランドリーバスケットを配達するのも目的の一つ。十一日に同市に到着予定で、その後は市内を走行し、竹製EVを広くPRする。
その独特な外観は行く先々で注目を集め、藤川宿でも施設利用者から記念撮影を求められた山岸さん。「職人が一生懸命に製作し、出資者や地域の方、道中で出会う方など、本当に多くの人の支えがあってここまで来ることができた。残る行程は三分の一、安全運転で無事にたどり着きたい」とプロジェクトにかける思いを語り、完走を誓った。
(新聞「東海愛知新聞 2016年8月10日」より転載)