高知から横浜へ930キロ
竹の自動車で本県通過
高知県須崎市の山岸竹材店の山岸義浩社長(53)が、編んだ竹で外装をデザインした電気三輪自動車で同市から横浜市までの約930キロの旅を続けている。
7日夜には本県入りし、利用頻度の減少から関心が薄れつつある竹材の魅力を発信している。
電気で走行する光岡自動車(富山市)製の三輪自動車のボディーを外し、須崎市特産の虎竹を編み込んだフレームを取り付けた。家庭用コンセントで1回6時間の充電をすると、50~60キロの走行が可能になるという。
1日に須崎市を出発した山岸社長は3日間ほどかけて本県を通過し、11日に横浜市に到着する計画。車のフレームには「網代編み」や「やたら編み」など多彩な竹の編み方が施され、駐車中に「これは何ですか」と興味深く声をかけてくる住民も多いという。
竹は従来、燃料や細工の材料などに使われていたが、時代の変化とともに需要が減った。現代は竹林が全国的に放置されるようになり、景観や生態系の悪化などさまざまな問題も指摘されている。
8日に浜松市に到着した山岸社長は「竹は柔と剛の性質を併せ持つ面白い素材。実際に見たり触ったりして、竹の魅力を感じてもらいたい」と語った。
(新聞「静岡新聞 2016年8月9日」より転載)