竹製EV900キロの旅
高知の工芸店が製作 横浜へ
高知県須崎市の工芸店が造った"竹製自動車"が完成し、今夏横浜市に向けて初走行する。電気自動車(EV)を活用し、竹を編み込み車体を覆った力作が900キロの旅に出発する。
1894年創業の「山岸竹材店」は、須崎市内の限られた山あいにのみ生育する「トサトラフダケ(土佐虎斑竹)」を使い、バッグや草履などを製作、販売している。トラ柄に似た模様が特徴の竹で、模様は幹に寄生した菌によるものとされる。
社長の山岸義浩さん(53)によると、丈夫でしなやかな竹の魅力を発信しようと、光岡自動車(富山市)製の三輪の小型電気自動車をベースに4人の職人が3ヵ月かけて完成させた。
時速は最高50キロで「ミニバイクのような感覚」と山岸さん。床は竹張り、車体には竹ひごを何本も重ねる「ヤタラ編み」を用い、丸竹を入れてデザインも重視した。
インターネット上で資金を募るクラウドファンディングを利用し、全国の135人から約350万円を集めた。中でも、横浜市青葉区の新聞販売店経営広田実さん(63)は最大の出資者。山岸竹材店の製品を愛用していた広田さんは自身の顧客にも支援を呼び掛け、計100万円を出資した。
山岸さん自らがハンドルを握り、広田さんに直接感謝の気持ちを伝えようと、須崎市から、10日ほどかけて横浜市へ向かう予定。山岸さんによると、出発は7月末から8月初旬で、全行日程は約930キロになる。
1回の充電での走行距離は50キロほどのため、道中コンビニなどで家庭用電源から充電する計画。山岸さんは「応援してもらった多くの人の期待や笑顔を乗せて走りたい」と意気込んでいる。
(新聞「中国新聞 2016年7月22日」より転載)