虎斑竹自動車が完成
須崎市「竹虎」職人技で車体覆う
【須崎】須崎市安和の竹材メーカー「竹虎 山岸竹材店」が地元だけに自生する「虎斑竹(とらふだけ)」で車体を覆った"竹虎自動車"を完成させた。インターネット上で資金を集め、竹虎の職人たちが丁寧に仕上げた。山岸義浩社長(53)は「走る姿を通して、多くの人に竹の素晴らしさを知ってほしい」と感慨深げだ。
虎斑竹は表面に虎のような斑紋が浮かび上がる竹。「3カ月で成長し、硬くも柔らかくも加工できる竹の良さを発信したい」と山岸社長が製作を発案した。昨年8月からインターネット上で資金を募る「クラウドファンディング」に取り組み、約1カ月半で約350万円が集まった。
車体は富山県の光岡自動車が製造する三輪電気自動車(2人乗り)を活用。竹ひごを形に合わせて編む「ヤタラ編み」や、隙間のない「網代編み」などの技を駆使し、外装や座席、ハンドル、後部の荷物置きまで全てを竹で包んだ。
社長の弟、山岸龍二専務(50)をリーダーとした職人たちが「作っては壊し」の試行錯誤を重ね、約3カ月かけて完成にこぎ着けた。「虎斑竹を"魅せる"デザイン」に苦労したという。
10日には大口出資者の広田実さん(64)=横浜市=が同社を訪れ、完成した車を見学した。新聞販売店を営む広田さんは、以前から竹虎の製品を愛用しており、自身の顧客にも出資を呼び掛けるなどして今回のプロジェクトを支援した。
「職人の手が込んでいる。これはすごい」と感激した様子の広田さん。山岸社長は「(完成は)みなさんのおかげ」と感謝していた。(山本 仁)
"竹虎自動車"の完成を喜ぶ山岸義浩社長=左=と広田実さん
(新聞「高知新聞 2016年6月11日」より転載)