カメラリポート
"竹虎自動車"制作中
須崎市の竹材会社
町工場の真ん中で職人たちが自動車作りに精を出している。ここは竹材メーカー。須崎市安和の「竹虎 山岸竹材店」が、地元特産の虎斑竹をふんだんに使用して、一風変わった車を仕立てている。1894年(明治27)年創業の老舗、新たな挑戦だ。
「竹細工はよく言えば伝統産業。でも実際は地味やとっつきにくい、といったイメージを持たれ注目されることがない。今の若い人は青竹踏みも知らんのよ」4代目の山岸義浩社長(53)が"竹虎自動車"の発案者。「竹の持つ柔軟性、強さをアピールするのにぴったり。竹の車が公道を走れば、いろんな人に振り向いてもらえる」と意気込んだ。
車の骨格は富山県の光岡自動車が製造する三輪電気自動車(2人乗り)。フロントカバーなどを取り外し、社長の弟、山岸龍二専務(50)をリーダーとした職人がボディー制作に取り掛かった。外観はもちろん、内装の座席、床、後部の荷物置きに至るまで、全て竹で包んだ。座席下のスペースは厚さ0.5ミリほどしかない竹を、隙間のない「網代編み」で仕上げた。
5月中の完成を目指しており、今後ハンドルなど細部の詰めの作業に取り掛かる。販売の予定はなく、虎斑竹の自生地にお客さんを案内するときに使用する予定という。
「『笑』の字には竹が入っている。竹は人を笑顔に、幸せにできると僕は思っていますよ」。持論を口にする山岸社長。もちろんにかっと笑っていた。
(新聞「高知新聞 2016年5月9日」より転載)