四国スクエア
中四国 Biz パーソン
虎模様の竹 用途多彩
高知県須崎市安和(あわ)地区特産の「虎斑竹(とらふだけ)」は、表面に虎のような模様が浮かび上がる珍しい竹。土佐藩に年貢として納められたとも伝わる。1894年創業。虎斑竹などを扱う大阪の竹材商だったが、戦後、安和地区に移った。同社の竹の専門店「竹虎」は、同市の店舗やインターネット上で、縁台や籠、弁当箱や竹炭など約4000点を販売。虎斑竹で作ったバックは、今年2月、米国最大規模のファッション展示会に出展し、注目を集めた。4代目の山岸社長は「海外で有名になれば、国内の若い人にも見てもらえる」と考えたという。
プラスチック製品の普及や外国製の安価な竹製品の流通に加え、1990年代には不況で倒産の危機に陥った。わらにもすがる思いで97年にネット通販を開始。ブログを毎日更新するなど努力を重ねた。山岸社長は「対面販売も通販も昔ながらのまじめさや信用が大事だと気づいた」という。
現在は、外装やハンドル、座席などを虎斑竹を編んで作った電気自動車「虎竹自動車」を製作中。「竹の丈夫さ、しなやかさの両面を存分に生かし、竹の可能性を世界に発信できれば」と期待を込める。
山岸竹材店社長 山岸 義浩さん 53 高知県須崎市
(雑誌「読売新聞 2016年4月26日」より転載)