土佐あちこち
開花を待つ
職人から職人へ。幾年も受け継がれた伝統が、海外に飛躍しようとしている。
須崎市安和地区にしか生息しない虎斑竹を扱う竹材メーカー「竹虎」が、全米最大規模のファッション展示会に初出店した。米国在住のデザイナーと新装した竹バッグは会場で注目を集めた。
「(虎斑竹は)僕らの誇り。『ここにしかない』っていうのはすごい強みなんやと、海外であらためて感じた」。山岸義浩社長が力を込める。
山岸社長によると、原型となった竹バッグは、戦後日本から欧米に輸出されていた製品をモデルに、虎斑竹を使って復刻したものだという。それがニューヨークのバッグデザイナー、中野和代さんの目に留まり、"再び"海外に飛び出すことになった。
「(商品として)売れる自信が出てきた」と山岸社長。虎斑竹と日本の技術が認められたことを何より喜んでいた。「僕らが見過ごしている地域の価値が、まだあるがじゃないか」とも話していた。
季節はちょうど、桜の時季を迎える。一年の風雪をじっとこらえ、栄養を十分に蓄え、春の日を浴びて花開く。地域に眠る資源に、そんなイメージを重ねてみたい。
(新聞「高知新聞 2016年3月10日」より転載)