虎斑竹バッグ 世界に発信
須崎市「竹虎」米進出へ
【須崎】須崎市安和地区にのみ自生する「虎斑竹(とらふだけ)」を扱う竹材メーカー「竹虎山岸竹材店」(同市安和)が"海外進出"の計画を進めている。ニューヨークに住む日本人デザイナーの協力で、同社の竹バッグを米国で発表、商機を探る。山岸義浩社長(52)は「日本の竹文化、職人文化を知ってほしい。地元の活性化にもつながれば」と力を込めている。(山本 仁)
虎斑竹は、表皮に虎皮のような斑点がある珍しい竹で「虎竹」とも呼ばれる。全国で安和地区にしか生育しておらず、模様が浮き上がる理由は不明。特殊な細菌の作用や日当たり、地質などさまざまな説があるという。
竹虎は1894(明治27)年創業の老舗。ネット販売に力を入れ、虎斑竹で作った縁台やかごなどの製品を全国に販売している。
NY在住デザイナーと協力
海外進出のきっかけは昨秋、ニューヨークで開かれた日本の伝統工芸の展示会。依頼を受けた竹虎が製品を出展したところ、訪れた現地在住のバッグデザイナー、中野和代さんが竹バッグに関心を持ち、山岸社長に「一緒にやりましょう」と持ち掛けたという。
中野さんはニューヨークを拠点に、約30年にわたって活躍を続けている。米国などでの販路開拓にも詳しい中野さんとタッグを組むことで、これまで国内の見本市に何度か出展するだけだった竹虎にとって、本格的な海外進出が可能になった。
今後、従来の竹バッグの構造を生かしながら、中野さんがアレンジを加えて新商品を開発する予定。来年1月、主にバイヤー向けで、米国内の雑貨ブランドがニューヨークに集う展示会に出展するという。
こうした動きを須崎商工会議所も全面的にバックアップ。中小企業庁の「ふるさと名物応援事業補助金(JAPANブランド育成支援事業)」の採択を受け、米国での市場調査や広報などを支援する。
山岸社長は「『地方の企業でもこんなことができるんだ』っていう可能性を示したい」と意気込んでいる。
著書出版も
「竹虎」の山岸義浩社長はこのほど、竹と向き合ってきた自身の半生やネットビジネスのアドバイスなどをつづった著書「竹虎四代目への道」(幻冬舎)を刊行した。
仕事の魅力に気付けず悩んだ日々や、会社の業績が落ち込む中で光を見いだしたネット販売の"極意"などをまとめた。
(新聞「高知新聞 2015年6月19日」より転載)