【竹婦人(ちくふじん)】三夏 竹夫人・抱籠・添寝籠・竹奴
竹や籐で編んだ、円筒状の籠の形をしたもの。寝苦しい夏の夜、抱いたり足をのせたりして涼をとる。何よりその名称が、俳諧的で好ましい。小柄な女性の背丈ほどある竹婦人が、年を経て飴色になった姿は、どこか哀れである。
天にあらは比翼の籠や竹婦人 芭蕉
竹婦人背中へ廻る夜明けかな 鈴木鷹夫
▼白居易の「長恨歌」からの発想。使い慣れた竹婦人への愛着を、玄宗の楊貴妃への寵愛になぞらえ、「比翼の籠」ととらえるところが蕪村の才。▼寝苦しい夜、悶々と身を預けた竹婦人も、明け方になると、このように。
(雑誌「日本の歳時記」より転載)