会社 東西南北
竹虎 山岸竹材店(須崎市) 山岸義浩社長(下)
職人の苦労 実習生体感
1994年、英国放送協会(BBC)が虎斑竹の取材に訪れた。記者が「奇跡の竹」と、興奮していたことが印象に残る。しかし、地元でも虎斑竹を知る人は少ない。実際に竹に触れ、魅力を知る機会がないからだ。
その思いから、年に数回、就業実習の学生らを受け入れている。竹細工職人の作業を見学してもらい、竹を切り出す山にも行く。様々な職人の手を経て生み出されるものづくりの苦労の一端を体感してもらう。従業員が研修の様子を写真撮影し、今年から始めた会員制交流サイトに掲載している。
商品開発は、竹細工や家具だけでなく、この10年で知識を絞った。竹を蒸し焼きにして出る煙を冷やした竹酢液は消臭や殺菌効果があり、防虫剤として人気。東日本大震災後に節電が注目され、国産竹の「快眠マット」は4月から2か月で完売した。
どんな良質な商品も、発信しなければ埋もれてしまう。最新のIT技術との融合こそが現代を生き抜く活路だ。竹とインターネットが生み出す無限の可能性を追い求めていきたい。
(新聞「読売新聞 2011年9月16日」より転載)