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竹虎 山岸竹材店(須崎市) 山岸義浩社長(上)
「虎斑竹」工芸ネット通販
茶褐色のまだら模様が特徴で、須崎市の山林だけに生育する「虎斑竹」。この珍しい竹製品をインターネット通販で全国に広める「竹虎 山岸竹材店」の4代目・山岸義浩社長(48)に、情報技術(IT)を駆使して製品を普及させる工夫や意気込みなどを聞いた。
(聞き手・森本健裕)
(11日経済面からの続き)
須崎市の山主の娘と結婚した初代が大阪で開業し、2代目が終戦直後、空襲で焼け野原になった大阪から須崎市に拠点を移転。1970年代、四万十川ブームで急増した観光客を当て込んで全国の竹細工や日用品など約6000点を集めた展示場を持つ店舗を同市に構えた。
3代目の長男だが、跡を継ぐ気持ちはなかった。大阪の大学に進学し、4年生の夏に帰省中に転機が訪れた。近くの海水浴場のたき火が燃え移り、工場と店がほぼ全焼したのだ。ぼう然と立ちつくす約50人の従業員を前に、「何とかしますから」と励ます言葉が、無意識に出た。86年に大学を卒業し、入社した。
安価な中国製品やプラスチック製品が普及し、国産は窮地に陥っていた。家庭から竹製品が姿を消し、入社時に年間3億円だった売り上げが、15年後には半減していた。
虎斑竹は、土壌に含まれる寄生菌が幹に付着し、茶褐色の虎のまだら模様が出るとされる。移植を試みる人もいたが模様が消えるなどして失敗した。この竹の存在を知ってもらおうと、97年からインターネット通販に活路を求めた。
・メモ
明治27年(1894年)、大阪市天王寺区で創業。終戦直後、須崎市に移り、屋号を「竹虎」とする。1951年に株式会社「山岸竹材店」を設立。日用・工芸品などを扱い、売上高約2億3000万円(2010年)。資本金1000万円。従業員20人。
(新聞「読売新聞 2011年9月13日」より転載)