有力EC経営者が語る
わが社の転機
山岸竹材店 山岸義浩 社長
■岸本氏と出会い
97年のサイト開設から00年まで、竹の和紙でつくったレターセットの1商品(価格は300円)分の売り上げしかありませんでした。サイトをつくっても売れない状況のなか、高知県内で開かれた「e商人養成塾」という勉強会で、その後の当社の成長を語る上で欠かせない人と出会いました。
当時、EC業界でカリスマ店長として知られていた「京都イージー」の岸本栄司社長です。勉強会では「他人のサイトでモノを買い物しますか?」と問われ、気づかされたのです。他のサイトで商品を購入することで、いい面を自社のサイトに取り入れるようにしていきました。
■地道な積み重ね
岸本社長はよく「ネットはスピード」といっていました。月1回の勉強会では1つ課題が出され、その日の夜12時までに必ず実践しました。それで成果が出たのかといわれれば分かりません。しかしネットでモノを売るためには、情報発信を毎日できるかどうかだと思います。新商品をアップしたり店長ブログを更新したりと、地道な作業を毎日どれだけこなすことができるか。小手先のテクニックはその時だけしか通用しない。毎日の積み重ねが大事――岸本社長が投げかけた課題の答えだと思います。
ユニクロとの共作 従業員の誇りに
■ユニクロから声
竹商材なんかネットで売れるかといわれていました。しかし、商品開発やオークション、共同購入などの企画を行うことで購入者が増えました。それに伴うようにして、「ベストECショップ大賞2007準大賞受賞」「イーコマース事業協会エビス大賞09大賞受賞」など、ECに関するアワードをいただき、知名度も上がっていきました。
そんななか、08年にはユニクロ(山口市)から声をかけていただき、当社とのコラボレーションによるTシャツを販売することになりました。地方の小さな会社ですが、ユニクロとのコラボは、従業員や家族にとって、仕事に対しての誇りにつながったようです。
地方経済は疲弊しています。ある地域では高校生の就職率が前年の半減に落ち込んだか。でも、ネットを使った情報発信を行えば、地方が活性化する可能性もあるはずです。地方の竹材業者が賞をいただいたり、ユニクロとのコラボで全国の人に知ってもらったりできたことは、インターネットが起こした奇跡だと私は思っています。
山岸竹材店
創業1894年の竹材専業メーカー。
所在地は高知県須崎市。
自社サイト、楽天市場、ヤフーショッピングなどで竹専門商材のECサイト<竹虎>を運営。
ネット関連のアワードの受賞歴多数。
(新聞「週刊日流eコマース 2009年8月27日 第0092号」より転載)