山岸義浩
(株)山岸竹材店専務取締役。高知県須崎市
1963年、高知県生まれ。O型
大学卒業後、家業の竹細工店に入社。四代目候補の専務として、家業を継ぐ。徐々に虎斑竹の魅力に目覚め、全国区の商品とすることを掲げる。00年7月、オンラインショップを立ち上げ、セールスを増やす。またメールマガジンを通じて、虎斑竹の素晴らしさ、商品の紹介など積極的に行っている。営業、展示会、売り出しセールが大好き ●映画観賞 コメント:「念ずれば花ひらく」
[事業内容]地元特産の虎斑竹を使った竹細工・竹縁台・竹皮草履などの製造・販売
虎斑竹細工一筋百有余念。
四代目の私が伝統を守ったり、いくらか壊したり
家業のことはよく知らずに育ったんですが、大学4年生の時に実家の竹工場が全焼して「もはや自分が継ぐしかあるまい!!」という感じで。
うちは竹製品をつくって100年以上という老舗。しかも、その竹はこの周辺の安和地域にしか生息しない、虎斑竹(とらふだけ)。でも、実際に四代目を継いでみると、どうも仕事に意味を見い出せない。そんな時、ひとりのお客さんが「竹を見ているだけで気持ちが和みます。いいお仕事ですね」と言ってくれた。それで初めて竹の価値に目覚め、自分の仕事が必要とされている喜びを感じました。でも、実店舗では来てくれる人は限られる。で、見よう見真似でオンラインショップを立ち上げました。
売れるサイトにするため講座に1年通い、写真や原稿も自分でそろえました。アクセスしてきたお客さんと、メールでやりとりを重ねて、やっと注文が取れるように。ところが従業員にしてみれば、商品を個人向けにひとつ発送するというのは、面倒なだけ。お菓子の空き箱で送ろうとしてたんで、「やめてくれー!!」と(笑)。それからは配達時間を指定した伝票の書き方とか、手紙を入れてていねいに包むこととかを教えてね。時間はかかりましたけど、リピーターの獲得には、こういう気遣いやフォローが大事なんだよと理解してもらいました。
今、虎斑竹を扱う会社はうちしかない。辞めることは虎斑竹製品の消滅を意味するんですね。その危機感がまた、いい感じで商人魂をあおるんですよねー(笑)。
(雑誌「ニッポンの企業家図鑑 2003年8月4日発行」より転載)