今月の逸品
下駄 竹皮男下駄 竹虎(株)山岸竹材店
竹の皮を熟練職人が丁寧に編み込み心地よい刺激と快適な歩行を実現
いまでは、登場回数がめっきり少なくなってしまった下駄。履き慣れない人が下駄で歩くと、足が疲れ、ひどいときにはマメができてしまうこともある。でも本来、下駄を履くことは身体にいいことだとか。
下駄の鼻緒は指の付け根のツボを刺激して循環を促進。また、外反母趾を予防したり、土踏まずをつくってくれたりするのだ。
そこでお勧めしたいのが、竹虎(株)山岸竹材店(高知県須崎市)の『竹皮男下駄』。これを履くと、足裏に心地よい刺激が伝わり、太くて安定感のある鼻緒を足をしっかりサポート。日ごろ下駄を履かない人でも、一度足を入れると、その快適な履き心地に病みつきになるはずだ。
同社がある須崎市の安和地区は、竹林が広がり、表面に虎皮状の模様が入った″虎斑竹″が育成する日本唯一の場所でもある。竹皮男下駄に使われているのは、この地の竹だ。竹の皮を熟練の職人が丁寧に、緻密に編み込んだ。プロ中のプロが編んだそれは、芸術作品といってもいいほど繊細。しかも丈夫。竹の刺激と一緒に、手作業の温かもりまで伝わってくるようだ。
台に使用したのは桐。桐の台は歩き心地がよく、竹皮との相性もピッタリ。見た目の調和も美しい。歯のついた高下駄だから、雨の日などには裾が濡れないのも魅力の一つだ。
実はこの下駄、四代目の山岸義浩さんが自分で履きたくてつくったものだという。仕事でもプライベートでもよく下駄を履き、県外への旅行までも下駄で行くという四代目が、こんなものがあったらいいな、という思いを実現させたものなのだ。というわけで印傳風の鼻緒も四代目好み。業者に細かな注文をし、時間をかけて納得いくものをつくりあげた。古典的で、かつモダンな柄の鼻緒を三タイプ用意しているという。
四代目が細部までこだわった下駄を履き、カランコロンと音を鳴らして歩けば、いつもの道が違って見えてきそう。贅沢な時間を過ごしたいときに、ぜひ履いてみたい。
(画像下テキスト)好評のため女性用も販売することになった。
(雑誌「ビジネスサポート 2002年7月号」より転載)