名物に旨いものあり
高知県須崎
【竹炭豆】
「健康にいい」と「美味しい」の両立に成功!!
食べだすと止まらない竹炭豆で、目指せ腸内活性!!
最初は、物珍しさから取り寄せた。健康に良いというのも魅力だった。それが現在では、家族から「あの美味しい″竹炭のお豆″、もっと欲しい!」という熱いラブ・コールが沸き上がるようになった。
竹と炭と豆が、一体何の関係があるのか?理由解明の前に短い説明。高知県に創業114年の歴史を誇る、竹製品の老舗・竹虎がある。全国でも「ここでしか生育しない」という天然記念物・虎斑竹(とらふだけ)を育む「竹の里」である。同社では、竹細工はもちろん竹炭による石鹸、シャンプー、草履など約五千種類の商品があるという。
ここで竹炭豆の話に突入する。「炭を食べる」という発想は、炭職人さんの習慣から生まれたものだという「昔から炭を焼く人達は、お腹の調子が良くない時に炭を食べていた。そして、炭職人に胃腸の悪い人はいないという言い伝えがあったんです」と、竹虎4代目の山岸義浩社長。
科学的にいうなら、食用竹炭には無数の孔があり、孔が有害物質を吸着して、便として排出される。腸内をアルカリ化して、弱酸性を好む腸内の悪玉菌を減らす効果もあるという。
「この機能に着眼したお菓子メーカーから申し出があり、それでは開発してみようということになったのです」(山岸氏)。試行錯誤を繰り返しながら。「竹炭豆」が商品化されたのが2003年。「虎斑竹」は高価なので、使用するのは身が厚く、どこでも育つ孟宗竹の炭である。
「最初の竹炭豆の反応が良かったので、飴、かりんとう、せんべい、更にはコーヒーにまで製品を広げていったのです」(山岸氏)
如何なる味か?まず、竹炭豆は南京豆をくるんだお菓子だが、想像以上に粒が大きい。「パキパキ」「」とした歯触りと共に、美味しさがジュワ―と広がってゆく。目を閉じると、涼風にそよぐ竹林の風景が(想像力が豊かな人には)見えるに違いない。気のせいか、胃腸が浄化されるようにも感じる。ポイントは微かな醤油味。更に寒梅粉、魚醤。椎茸&昆布&野菜のエキス・パウダーまで含有し、一つの″旨み″に達しているのだ。竹炭は、微粉末なのでよほど神経を凝らさないと判別し難い。勿論口の中が炭で黒くなることはないのでご安心を。
竹炭飴は、竹炭粉末を黒糖に練り込んでいるのが知恵。口に優しい懐かしい味である。竹炭入かりんとうの工夫は、竹粉末をかりんとうの生地に入れ、黒胡麻を混ぜて仕上げていることだ。竹炭パワーに胡麻パワーが相乗し、怖いものなしの健康食品だ。同じく炭せんべいにも胡麻が入っている。私は、毎日胡麻のエキスを濃縮した或る秘薬を飲んでいるが、すこぶる調子がよろしい。開け、胡麻!
いくら珍奇で健康に良くても、不味かったら、このコラムで紹介しなかったに違いない。「試しに食べていただいた皆さんが、まず健康のために食べ始めて、次に、その美味しさに驚かれるようです」という山岸社長の言葉に嘘はない。
私は、同社が作る「竹炭枕」でスヤスヤと眠っているが快適である。あたかも故郷の竹林を眺めているような安心感に包まれるのだ。
(雑誌「ビッグコミック 2008年3月25日発行」より転載)