竹虎の人気商品の中に黒竹玄関すのこがあります。これは玄関に置くすのこなのですが、黒竹をそのまま使い、竹そのものの美しさと自然素材ならではの存在感などが、見る人を癒してくれるのではないかと思っています。
その黒竹玄関すのこなのですが、どうせ置くなら自分の玄関や用途などによって、ぴったりの大きさや高さで、別注として作りたい方が増えています。長さを長くしたり、短くしたり、高さを高くしたりと、それはお使いいただくお客様によって様々です。
今回は長さを長くしたものと高さを微妙に高くした黒竹玄関すのこのご注文をいただきました。長さを長くしても、奥行きが同じなら、既製品用に用意してある四万十ひのきの足がそのまま使えるので、上に貼り付ける黒竹の長さを調整し、場合によっては3本の足を4本や5本にしながら製作します。
高さや奥行きを変える場合は、その足から作り変える必要があり、そのたびに製材屋さんでひのきを引いてもらい、アジャスターの取り付け穴の加工や、塗装をかけるので、どうしても時間を頂き、費用も余計にかかってしまうことがあります。
それでもこうして自分なりの大きさや高さにこだわるということは、ちゃんとしたイメージがあり、期待度も大きいと思います。その期待に添えるよう、またそれ以上の商品をお届けしなくてはと思うのです。
虎竹の縁台作りが、竹虎工場内では最盛期を迎えようとしています。竹は涼しいというイメージがあることから、この縁台も冬場よりも春から夏にかけてのこの時期にご注文いただけることが多いのです。
竹は時期のいい秋から冬にかけて伐採し、その竹を工場内にすべて取り込んで、その竹の大きさや長さ、色付きの良し悪しや性格などに応じて、いろいろな用途に振り分けられて切断しています。
この虎竹縁台用の竹も丸竹のまま使うことから、大きさは当然ながら、割れにくそうな竹を選別していきます。また長さも1m、4尺、5尺と3種類ありますが、竹の両端に節をつけるため、それぞれの長さの両端にちょうど節がくるような竹をさらに選別してます。そんなことをしていると虎竹縁台に使える竹はそう多くはありません。
足は強度と割れを考慮して四万十ひのき使って組み上げ、長さに切り揃えた黒竹の両端の面を取り、数日水に浸け込んで柔らかくした四万十カズラで編んでいきます。竹細工は材料の竹を選別するところから始まっているのです。
「前におたくで買った縁台やけど、ガタガタするので直してくれませんか?」とお客様がお見えになりました。しっかりと作ってある縁台ですが、割れが出てきたり、長い間使っているうちに、多少はガタガタしだす場合もあるのです。
お見えになったのは年配の女性ですが、自分で車に乗って、縁台を後ろの席に積んで持ってきてくれました。後ろに乗せてあるからと、ドアを開けて降ろそうとしてびっくりしました。その縁台は縁の竹を図面角竹で作ってある、20年以上前の縁台だったからです。
図面角竹とは土から出てきた筍に四角の板枠をして、成長するたびに枠をずらし、倒れないように隣の竹から縄を張って支えながら育てることによって、板枠の中で竹を四角にします。その竹の表面に薬液の泥を塗布して、斑紋のような模様の竹を人工的に作ったものです。20年以上前はその図面角竹を使って縁台を作っていた時期もあったようですが、その後は虎斑竹に変更し、今に至っています。
その年数もさることながら驚いたのは、この縁台の綺麗さです。そんなずっと前の縁台にもかかわらず、足の竹こそ割れがきているものの、他のところは割れもなく、目立った退色などもなく、そのままの形と色をしています。ただ脚がグラグラしだしたという程度です。
玄関に座布団を乗せて置いてあるとのことでしたが、大切に扱っていただけたからこそ、こんなに長い間使っていただけています。こんなに大事に使ってもらえてることに感謝するとともに、この20年選手の縁台を見せてもらえたことが大変嬉しい修理となりました。
枝折戸とは丸竹で枠を組み、割竹を菱目に編みこんだ簡単な開き戸で、庭への入り口などによく使われるものです。また2枚をL字に組んで簡単な衝立にしたり、ベランダや庭でプランターの植物を這わせたりと、いろいろな使い方もできる大変便利なものです。
高齢ながらも、もう少しもう少しとこの枝折戸を編んでくれていた職人さんが引退し、この枝折戸を編めるのは今のところ自分だけとなりました。枝折戸に限らず、この人が辞めたらできなくなるという竹細工はたくさんあり、後継者育成と技術の伝承が課題としてあります。
編めるとはいえ、自分はこの枝折戸の編み方を誰にも習っていません。編み方自体は見ればわかるので、見たままで編み始めたら編めたのでそのままやっています。もちろん最初は綺麗ではないですし、時間もたくさんかかりました。少し手先の器用な方でしたら自分も編めそうだと感じる方もいるのではないでしょうか。
しかし編めれるというのと、製造として編むのは大きく違います。割竹を綺麗に剥ぎ、固めと柔らかめの竹を選別して、適した場所に使い、できるだけ折れやすい節が曲げのところにこないように調整しながら、また枠がゆがまないようにして編むのです。また当然ながらその上にスピードが要求されます。
編むのにまず一番分かりづらかったのはシュロ縄を結ぶ方向です。両面なので、規則正しく両方の面に結び目を見せる必要があり、編みながら交差した部分を結ぶ際に、その交差部分がどちらの面から結ばないといけないのかが大変分かりづらかったですが、今は法則を理解でき簡単にわかるようになりました。
綺麗に作るには編み目の枠を出来るだけ同じ大きさに揃えることです。また組んだ枠がゆがまないように気をつけなければいけません。それには編み台につけられた直角の木の枠に枝折戸を時々合わせて角が直角になるように編めているかを確認します。簡単なようですが、難しく、職人と呼べるレベルに到達するのにはまだまだ時間がかかりそうです。
最近、黒竹すのこのサイズ違いの特注品のお問い合せやご注文が多くなってきています。幅90cm、奥行き40cm、高さ約7.5cmが既製品の大きさなのですが、どうせ置くなら玄関や置く場所の広さに合わせて、ぴったりの大きさに作って、使いやすさを一番に考えられる方が多いように思います。
特注といっても奥行きや高さの同じものなら、既製品用の塗装したひのきの足がそのまま使えるので、上に並べる竹の長さを変えるだけで幅の違う黒竹すのこを作ることが出来ます。しかし、奥行きや高さを変えるにはひのきの足から製作する必要があり、ひのきの手配や塗装でどうしても余分に時間も手間もかかってしまいます。
今回のすのこは幅は同じですが、奥行きが短く、高さがかなり高いすのことなっています。全体の高さの指定というよりも、下に入れる靴の高さの合わせて、竹の下側の空間の高さの指定があった黒竹すのこです。
使う人や場所によって、いろんな形に変わりながらも、竹が暮らしのなかに入っていくお手伝いができることは、大変嬉しいことなのです。
黒竹玄関すのこという商品は、主に玄関に置いて段差を少なくしたり、玄関のアクセントして使っていただいている竹虎でも人気の商品の一つです。長さは約90cm、奥行き約40cm、高さは約7.5cmです。
しかし、考えてみれば玄関は各お家によって様々な形や大きさがあり、なかなか既成のものではしっくり置けないことも多いようで、最近では別誂えのすのこのお問い合せやご注文をいただくことが、多くなってきました。
すのこの足の部分は5.5cm×4cmの桧を40cmの長さにカットし、表面をベルトサンダーで綺麗にした後、高さ微調整用のアジャスターを取り付ける穴を開けます。その後に塗装をかけて仕上げています。
別誂えのすのこでも、奥行きと高さが同じであれば既成の足を使用できるので、それを使って製作しています。しかし、奥行きや高さを変えるとなると、足の部分からの製作となるため、桧の手配をしてから加工、塗装をするので、どうしてもお時間をいただくようになってしまいます。
この別注黒竹すのこは長さも短いですが、奥行きが44cmと、既成よりほんの4cm長い物となりました。足部分からの製作となりましたが、その4cmにお客様のこだわりを感じ取ることができます。この別注黒竹すのこがお客様のこだわりと期待に応えられ、玄関にぴったりと収まることを想像しながら、一つ一つ作っているのです。
虎竹縁台は虎竹で枠を作り、その枠の座面に黒竹を並べ、四万十カズラで編んでいます。その編む段階で必要なのが、このくさびです。くさびと言っても、木片の先を少し削っただけの物ですが、これがあるとないとでは、編みやすさが全く違います。
くさびとは、堅い木材や金属で作られたV字形、または三角形の道具として知られています。柄鎌などの割と大きな刃物に柄をつける時や、柄が抜けた場合に、柄の木材の先にくさびを打ち込んで抜けにくくするのは、刃物を扱う者としては日常的に行うことです。これはくさびを打ち込むことによって、刃物の穴に差し込んだ部分の木材を大きく張らせて、刃物が抜けないようにするものです。
くさびにはこのように物と物とが離れないように圧迫するという役割がある一方、物と物を割り広げるという役割もあります。黒竹と黒竹の間に差し込んで間隔を広げて、編みに使っている四万十カズラを通しやすくしているのです。
何かに詰める形で物が抜けないようにしたり、固定したりするくさびも、割り広げるくさびも、昔からのほんのちょっとした知恵です。いろんな形はありますが、手作りの職人の現場には、こうしたちょっとした工夫や知恵があちこちで見られるものなのです。
虎竹縁台は日本唯一の虎斑竹で枠を作り、腰掛ける部分に黒竹を並べて作った縁台です。虎竹を使っているというのが大きな特長ですが、もう一つ大きな特長として脚を折りたためるということがあります。以前は脚の部分も竹を使っていましたが、今では耐久性や強度を考慮して、四万十ひのきを使った脚をつけています。
脚部分と土台部分を繋ぐのは、折りたためるように蝶番を使用しています。そしてその脚を起こした時に、脚部分を動かないようにするのが、つっぱりと呼ばれる細い竹です。その竹は脚部分から縁台の裏の中心部分に伸びて、中心部分に取りつけているビスに差し込めるように火で炙って少し曲げています。
つっぱりというだけに、これで脚部分を突っ張って固定するのですが、ただ差し込んだだけではどうしても緩みができてガタガタしてしまいます。このつっぱりを少しだけ張って取り付けて、緩みのない、動かない脚に仕上げていきます。
脚部分は2つあるので、つっぱりも2つで、差し込むビスも2つあります。どちらに差し込んでもいいようにある程度は作っているのですが、やはりこれは自然素材で作った手作り商品です。工業製品のように全く同じものはなく、脚でもつっぱりでも一つひとつ違うのです。ですからこちら側の脚はこちらのビスに差し込むというしるしのために、この荷札をつけています。
同じように作って、同じように差し込むように作っても、なにか違ったり、ほんの少しねじれてみたりします。それを修正し、微調整するのが職人の仕事です。竹を切ったり、組むのは誰にでもできますが、自然素材が故の小さなズレやゆがみを調整出来て初めて、その製品を作れる職人となれるのです。
別注の黒竹玄関すのこです。通常は長さ90cm、奥行き40cm、高さ7.5cmなのですが、今回は長さと奥行きは同じで、高さを16cmにして欲しいというお客様のご要望でした。
黒竹すのこを置く理由には玄関の段差を少なくしたり、靴を履いたりするスペースが欲しかったり、黒竹をインテリアの一部として利用したりと、いろいろあるかと思います。そんな用途に合わせて作ったり、玄関のサイズや高さ、形状などに合わせて、別注で黒竹玄関すのこを作ることがよくあります。
黒竹玄関すのこは長さ40cm、高さ約5.5cmの四万十ひのきで作った足を3本並べ、それに黒竹をスクリュー釘で打ち付けています。この足はまとめて作っていますので、別注でもこの足をそのまま使える大きさのものですと、黒竹の長さを変えるだけで済みます。しかし高さや奥行きを変えるとなると、足から作る必要があり、時間を余分にいただくことになります。
この別注黒竹すのこの足の高さは約14cmですので、5寸幅(約15cm)のひのきの板をカットし、四面を綺麗に削り、裏にはガタつき防止用のアジャスターの入る穴を開けてから塗装を2回かけていきます。それに高さがあるので、使っている間に下の足がグラつかないように、補強も入れています。
ただ高さを高くしただけなのですが、別注品というのは、いろんな工程を経て、また職人の工夫も入れながら、満足していただけるようにと一つ一つ作っているのです。