えびら製作

えびら制作


梅雨真っ盛りの高知県須崎市安和の虎竹の里ですが、梅雨明けの梅の土用干しに使っていただくえびらの製作に追われています。このえびらには大きさの違った大と小があり、編み方は隙間の空いた四ツ目編みと隙間のない網代編みの2種類があります。


大きさはお使いいただく場所や干す梅や野菜の量などで選んでもらえばいいかと思います。編み方の違いとしては四ツ目編みが隙間が空いている分、通気性に優れていますが、干すものによっては隙間からこぼれてしまったりする恐れがあるので、これも干すものや、お好みで選んでもらえばいいと思います。


この竹編みの生地を編んでもらっていた職人さんが高齢でできなくなったということで、今年から材料となる竹の伐採から、竹割り、竹編み、木枠作りまでを全て竹虎の職人が自社工場で製造しています。高齢で辞められる職人さんが出れば、その職人さんが作っていた籠ができなくなってしまうということもあるので、今後はこのように自社工場で製造しないといけない籠も増えてくると思います。


商品自体は遜色ない物ができていますが、長年やられてきた職人さんの手際やスピードに比べると、やはり熟練の職人さんには敵わず、職人さんのすごさを身をもって感じながら、少しでも近づいていけるよう日々精進しているところです。


製造時間が長くなったり、自社ですべてを手作りで製造するということは、コストアップに繋がり、結局販売価格を上げざるを得ない場合も出てきます。しかし高齢の職人さんが辞めて、作れなくなっていく商品でも、ありがたいことにまだま
だ必要としていただける商品がたくさんあります。それになんとか応え、なくてはならない竹細工を継承し続けていくこといくことも竹虎の存在意義の一つでもあると思うのです。

えびら

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えびら作りが最盛期を迎えています。土用干しに使うことの多いえびらは毎年この時期になるとたくさんのご注文をいただくので、事前に準備をしてはいますが、どうしても足りなくなってくるのです。


この時期、梅雨の長い雨で一番気を遣うことはカビです。竹は吸湿性が高く、乾燥していても湿気を吸い、それでカビが生えることがよくあります。塗装をかければそういう心配も減りますが、やはり竹の素材ならではのそのままで使っていただきたいと思うのです。


そのためにもお客様に届いてからも、風通しのよいところに置いてもらったり、使わないときにもたまに見ていただいて、虫の害やカビがあれば早めに対処していただくとか、自然素材ならではの保管方法を知っていただきたいと思います。


そうやって大事に使っていただくと、長い間お使いいただけますし、愛着もわいてきて、使うことの楽しさも増えるのではないでしょうか。今年もたくさんのお客様のところにお届けしているえびらが、来年も再来年もずっとそのままで使っていただけるように、もっともっと竹という素材を知ってもらえたらと思うのです。

籐巻き修理

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丸竹ざる(二重巻き)の修理をさせてもらいました。縁に巻いてある籐は二重巻きにしており、かなり丈夫に作っていますが、長年お使いいただいているうちに、どうしても籐が弱ったり、擦り切れたりして切れてしまいます。


二重巻きにしてあるため、外側の粗く巻いている籐が切れても、内側の密に巻いてある籐は簡単に切れないため、頻繁に苛酷に使われる強度を要求される籠に多用される返し巻き縁という巻き方です。外側の籐が切れた後も、お客様自身で麻ひもで籐を縛って修理しながら使っておられたようです。


内側の籐は隙間が開かないように巻くため、このざるは7回まわって巻きつぶしていました。何回まわるかは縁材の大きさや巻く籐の幅などで変わってきます。初めて作る場合はいろいろと考えながら巻いてみるしかないのですが、そういう意味では巻いてあったように巻く修理はまだ簡単なのかもしれません。


とはいえ最初の1週は、あとの6週まわってくる籐の位置をはかりながら、編んでいる竹ひごの間を縫うように巻き締めなくてはならず、竹ひごのどの位置に通して、どの位置に出すかを考えながらの作業となります。また、7週もするので、籐もどこかで継ぎながら巻きあげていく必要があります。


最近多くなったかごの修理をするたびに、いつもそのかごを手際よく、綺麗に作りあげてくる職人さんたちの熟練の技と大変さを感じずにはいられません。

竹ざるが出来上がって来ました。

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60cmサイズの竹ざるが出来上がってきました。まだまだ竹が生しく、暖かくなるこれからの季節はカビの心配もあり、出来上がってきた青竹の籠はこうして陽に干してある程度乾燥をさせてから、保管をしています。


竹は吸湿性が高く、どんなに乾燥していても湿度の多い日が続いたり、湿気のあるところに密封しておくと、竹が湿度を吸ってカビが生えることもあります。ですからこのような籠は風通しの良い、できるだけ湿気のないところでの保管をお願いしています。


本当は毎日使っていただくと、カビや稀に出る虫の害も早期発見でき、カビならすぐに拭き取って干してもらったり、虫ならその箇所に熱湯をかけてもらって虫の害を最小限に食い止めることができます。いつも使っていただくことが、その籠を結果的に長く愛用できることに繋がるのではないかと思っています。


この籠は網代編みという編み方で作られています。この編み方はござ編みなどの骨ヒゴに編みつけて行く編み方とは違い、まんべんなく、同じ本数の立てヒゴと横ヒゴで編んでいくので、ヒゴを大変多く使うため、ヒゴ取りや編みに多くの時間を使います。


またヒゴの厚みが厚ければヒゴを詰めて編むことが出来ず、薄ければ編みやすいですが柔らかく弱い籠になるため、ヒゴの厚みの調整をヒゴ取りの段階でしっかりとしておく必要があります。


でもこの籠で一番難しいのは、なんといっても平面に編んだ網代の生地を立体に起こしていく所です。丸く切った網代編みを、その丸より少し小さく作った丸い縁に押し込みながら、立体的に立ち上げていきます。


その時に大事なのはやはりヒゴの厚みです。薄くて柔らかければ張りがなく縁から外れ、厚くて硬すぎると丸い縁に沿って起き上がってくれません。薄すぎず、厚すぎずの絶妙な厚みが、縁をつけながらの起こしやすさに繋がって来ます。


そう言う意味でもやはり竹細工はヒゴ取りが一番大事で、その微妙な調整をしながら作り上げてくる職人さんは本当にすごいなと、入ってくる籠の出来具合を見るたびに、そう思うのです。

えびら(竹編み平かご)

えびら(竹編み平かご)


梅干用の実を収穫する時期は6月後半から7月中頃にかけてと言われており、梅を漬ける時期が近付いてまいりました。梅を漬けると土用干しと呼ばれる梅を干す作業が必要となってきます。土用の頃と言われますが、梅雨明けのよい天気に干すことが多いようです。


漬けた梅を干す理由は太陽の熱で殺菌しながら余分な水分を蒸発させ、保存性が高くなると言われています。そのほかにも色を濃くするだとか、味をまろやかにするだとか、干し方によって、柔らかくさせたりもできるようです。
 
 
その梅を干すのに多くご愛用いただいているのが、えびらとよばれる竹を網代に編んだものに杉板で縁を付けた平たいざるです。金属のざるですと、梅の塩分で錆びてしまうということもあるそうですが、昔から日本人の暮らしのそばにあった竹だからこそ、今もずっと最適な物として求められているのではないかと思います。


土用干しに間に合うようにと、大きくて厚みのある孟宗竹を幅広に割り、薄く剥いだヒゴで編んだえびらの生地を職人が一生懸命作っています。まだ生しい編み生地をこうして天日干しをして乾燥させ、カビなどの生えることのないように管理しています。


虫の入りにくい時期に竹の伐採をしていますが、どうしても入ってしまうこともあります。その際には早い段階で熱湯をかけて虫を殺して頂ければまったく問題なく長くお使いいただけます。


竹は吸湿性に優れているため、保管場所が悪かったり、時期によっては気をつけていても湿気を吸いこんで、カビを生やしてしまうこともあります。しかしそれも早めに対処すれば問題ありません。カビや虫などで、ざるなどが使えなくならないように、ほんの少しだけ気をつけて欲しいと思うのです。

国産竹ざる

国産竹ざる


国産竹ざるが編み上がりました。竹本来の青々とした色が清々しい国産竹ざるです。3本とんで、3本すくうといった一般的な3本網代で編んだ部分は虎斑竹と同じ仲間の破竹で編み、縁部分は大きい孟宗竹で作っています。


網代という編み方は2本でも3本でもとんで、すくってを繰り返しながら1本ずつヒゴをずらしながら、ヒゴをきっちり詰めて編んでいく編み方です。目が詰まっている上に、重なっている部分が多いため、ヒゴの本数が大変多くいる編み方でもあります。


重ねて、詰めて編むためにヒゴの厚みが厚いと大変編みにくいのですが、編みやすくするために薄くしすぎてしまうと、張りがなく、立体感のないかごになってしまいます。またこのざるのように何かを入れて使用する際には強度も大変必要になってくるので、できるだけヒゴの厚みを厚くして編んでいます。


網代編みもそうですが、この竹ざるで難しいのは縁を付けることです。孟宗竹で大きな丸い縁を作り、この網代編みの生地に取り付けるのですが、この網代編みの生地は平たいままです。その平たいものを立体的に起こして縁を付けていくのです。それができるのが竹ならではの柔軟性なのですが、この起こして縁を付けていくいく作業は大変コツのいる、熟練な技術のいる作業なのです。


よく見かけるざるですが、この起こしの良し悪しでざるの形が決まります。今回入荷した国産竹ざるの綺麗にそろった形を見て、改めてこの職人さんの腕の良さを実感したのです。