伐採のシーズンとなりました。

虎竹の山
竹の伐採時期となりました。時期的には問題ないのですが、まだまだ暑い日が続き、竹が水を上げているので、伐採はもう少し先にするつもりです。今年は以前からの懸案事項であった山道の本格的な整備に入ってもらっています。


この山は竹虎所有の虎竹の山なのですが、道からの上がり口がきつい上に荒れてしまって、運搬機が上がれずに倒してしまった場所なのですが、それ以降は怖くて上がるのを断念していた道です。運搬機が上がれないと、当然人力で虎竹を下ろしてこなければならず、効率も悪く、また人にも大変負担のかかる山でした。


整備された山道


思い切って、山を大きく切り取ってもらって勾配を緩くしてもらいました。切り取った土は新しい道の土台に積み上げてもらっています。所々に邪魔になって切り倒した竹を根ごと埋めています。これは四万十式とも呼ばれる表土ブロック積み工法で掘削した表土や根株を盛り土に入れることで、その中で根が伸びて盛った土が強くなるのだそうです。


運搬機も登りと下りで重心のバランスを変えられるように、前後に重りを載せる枠をつけてもらうように改良をお願いしています。これで運搬機の重心バランスも良くなり、以前は上がれなかった勾配の道も上がれるよう期待しています。


道や運搬機の改良によって、今よりは山の仕事は少しは楽になるかもしれません。しかし管理や伐採、運搬機までの運び出しなどは当然人の手でやらなくてはいけません。環境整備ができたので、これからは良い虎竹が取れるよう、しっかり管理をやっていかねばと、強く思った道作りとなりました。

竹の伐採

竹林
竹は切る時期秋から冬にかけてと決まっており、今シーズンの虎竹の伐採は1月いっぱいで終了しました。その後、枝を払って束にしてから、山からの運び出しの作業がありますが、それもあと1ヶ所を残すのみとなりました。今年は雨が多く、山道が滑って運搬機が上がれないために少し遅れています。


全国的に竹を伐る切り子さんが減っていると耳にしますが、虎竹の里も同様に切り子さんが減っています。竹の伐採といってもただ竹を伐るだけではなく、まず伐採できるように下草を刈ったり、竹を運び出す道の整備をしたりすることから始まります。


それから伐採をし、枝を払い、束にしてトラックの行けるところまで運搬機で運び出さなければいけません。基本的には上から降ろしてくるところが多いのですが、虎竹の山は急勾配の山が多く、運搬機の上がらない場所も少なくありません。今後はそんな山にも運搬機を上げていけるよう、道の勾配を緩くするように整備したり、運搬機の馬力や荷重のバランスをしっかり取るような工夫も必要です。


自分たちの管理している山には道が上にある場所もあり、そこでは運搬機で運び上げができないために人力で運び上げています。こちらもワイヤーを張って引き上げる方法を試したいと考えています。


また虎竹の伐採には竹の年齢を見分けるのはもちろんのこと、その山の色の付き方や竹の生え方を知らなければ伐ることができません。1年だけ伐ればいいのなら、色付きの良い竹をどんどん伐っていけばよいのですが、そうすれば次年度以降の虎竹の色の付き方が悪くなってしまいます。


伐採の知識や経験だけでなく、山道の整備や運び出しまで自分ですべてやらなければいけないと考えるとなかなかの重労働で、ハードルが高く、新しく切り子さんが増えないのも仕方ないのかもしれません。


切り子さんが減り、出てくる竹も減ってきているので、竹虎では10年ほど前から本格的に自分たちで竹の伐採も始めました。これも昔からの山の関係者や切り子さんとの関係があり、すんなりと山に入れる環境のおかげだと感謝しています。


伐採後は竹にキズをつける立ち枯れ竹や陽当たりを悪くしている木の伐採など、来年以降のために山の整備に入ります。暑くなる前になんとか時間を見つけて山に入りたいと思います。竹は伐る時期が決まっているので、その時期だけ山に入ればいいように思う人もいるようですが、そうではありません。


竹は日本中のあちこちで見られ、身近な存在であるのですが、竹屋が使えるいい竹は限られてきます。伐採や山の整備も考えると、自分たちの使っている竹の価値はもっと上がっていいはずですし、その価値に見合うような仕事をこれからもしていかねばと思うのです。

黒竹の伐採が始まりました。

黒竹、竹林

竹の伐採の時期になりました。虎竹はもう少し寒くなってこないと色が乗らないので、黒竹から伐採することにしました。黒竹も気温が下がると色がついてくるように思っていますが、虎竹ほどではないような気がしています。伐採の時期が1月末までということもあり、それまでの短い伐採時期に集中して山に入るようになります。


黒竹も虎竹と同じように生えてきたときは緑色の普通の竹の色をしています。真ん中の緑の色の竹は今年の春生えたものでしょうか。生えた竹は3ヶ月ほどでこの大きさになり、これからだんだんと身が入り、色のつくものはだんだんと色をつけてきます。黒竹も虎竹ほどではないですが、、色のつく竹とあまりつかない竹があります。これも原因がはっきりしませんが、陽当たりが大きく影響しているように感じています。


この場所は上に道があり、そちらに集めた方が近いので上に竹を流しています。黒竹は虎竹に比べると大きさも小さく、長さも短いため比較的扱いは楽なほうだと感じます。こうして上に竹を引き上げる現場に行くと、2年前に虎竹を担いで山道を上がっている時に足を痛め、しばらく松葉杖をついていたことを思い出します。


こうして仕事する上で健康はもちろん大事ですが、現場作業でのケガに対する注意も大事だとつくづく思います。一緒に山に入る社員にはケガのないように、十分注意して作業するようにと伝えています。


これから頻繁に山に入りはじめ、山の手入れや竹の運び出しが始まります。竹虎の職人たちも体力的には一番しんどい時期に入ります。しかし、会社に来てもやることがなかったり、作っても作っても売れなかった時代に比べれば、やることは見えており、シンプルに動くしかありません。


この山に入り始めて数年が立ちますが、ここはいい竹は生えないなぁと思っていた場所に綺麗な竹が少し生え始めています。竹林といっても、陽当たりや風当りなど環境の違いはそれぞれで、それぞれの山で生えている竹の違いは感じます。自分たちのやったことで竹林が綺麗になったり、いい竹が生えてきたり、新しい竹が多く生えてきたりするのを見ることだけが、竹林に入るたったひとつの楽しみなのです。

虎竹の入荷もそろそろ終わりです。

虎竹選別


虎竹の伐採も1月で終わり、山から運び出された竹が虎竹の里に降りてきています。切り子さんがトラックの入れる道まで運搬機で運び出し、それをトラックに積み込んで土場まで運び出し、それを大きさや色などで1本1本選別して規格ごとに分け、規格ごとに決められた値段で買い取るというのが虎竹の買い取り方法です。その買い取りを虎竹の里では受け取りと呼んでいます。


一般的に黒竹や破竹などの竹は大きさによって1束に入れる本数が決められており、その本数で山で束にし、その束ごとの値段で竹を買い取っています。2トントラックに乗る束数はおよそ100~130束ほどで、その束数に応じて買い取りの金額が決まります。


しかし虎竹は1本1本を見て、25通りの規格に分けての買い取りです。2トントラックに乗る本数は大きさにもよりますが、1300~1600本ほどです。それをすべて色や大きさや傷や竹の良し悪しによって選別するだけでも、他の竹とは手間が大きく違います。こんな仕入れ方法を取っている竹は虎竹だけでしょうし、こういう作業をしているのも虎竹の里しかないと思います。


仕入れの際の選別は自分がやるので、毎年出てくる数万本の虎竹のすべてを見ていることになります。出てくる山や伐り出してくる職人さんよって虎竹は微妙に違ってきます。選別も職人さんのクセや技量によって特徴的に違いがでます。それらもすべて理解していないとスムーズに、正確な受け取りはできません。


切り子さんは山での虎竹を一番知っています。竹細工職人さんは油抜き後の虎竹を割ったり剥いだり編んだりして、よく知っています。逆に言えば、切り子さんは伐って出した後の竹を、竹細工職人さんたちは山での虎竹を知りません。その両方をよく知っているはずの自分たちが両方の橋渡しをしっかりやって、より良い虎竹を提供できるよう、もっと虎竹を知っていく必要があると思うのです。

黒竹伐採

竹林


日本唯一の虎斑竹の生産地である高知県須崎市安和にある竹虎は虎竹を主に扱っていますが、黒竹も扱っています。黒竹の二大生産地の一つである中土佐町は隣町であり、昔から黒竹の組合があり、最盛期は何十万本もの黒竹を生産していました。


黒竹は名前の通り黒っぽい竹で、昔から室内の装飾用や庭に植えたり、鉢植えにしたりと、その竹の美しさから虎斑竹と同じような用途で使われることが多いようです。また新竹は緑色ですが、1~2年目からだんだんと色が付いてくるのも同じです。


虎斑竹に比べると柔らかく、粘りがあるので、竹細工に使いたい方が多いのですが、大きさが直径2~3cmくらいのものが多く、節間も短いため。割り剥ぎをしてヒゴを作るのにはあまり向いていません。やはり黒竹は丸のまま使うことが多く、竹虎では黒竹すのこや虎竹縁台の座面部分、黒竹箒など、さまざまなものに使っています。


黒竹も虎斑竹と同じで、伐採する切り子さんの高齢化などにより、伐採する人が減っており、数年前から自分たちでも山に入って伐採をしています。色の付き方が虎斑竹と同じ感じなので、色付きや竹の年齢などを見ながらの伐採ですが、黒竹の方が細く、長さも短いために数段扱いやすいと感じます。


とはいえ細いためにかなり伐ったと思っても、束にすると思ったより少なく、トラック一車伐るとなるとかなりの本数を伐ることになり、枝打ちも含めるとかなりの時間を要します。


以前は切り子さんが出してきてくれた黒竹でしたが、自分たちでやることで伐採の苦労やありがたさがよくわかります。以前よりもさらに思いの詰まった竹たちを、大事に製竹し、商品にして、虎竹の里から送り出していきたいと思うのです。

孟宗竹の伐採

孟宗竹の伐採


竹虎では日本唯一ここだけにしか生育しない虎斑竹と黒竹を主に扱っていますが、袖垣などの骨組み部分には孟宗竹を使用するため、少しではありますが孟宗竹も伐採しています。


孟宗竹の山にはイノシシの罠が仕掛けられていることが多く、ここにも入口に檻の捕獲機と少し入った所にワイヤーかなにかの罠が仕掛けられていました。罠を仕掛けた人の名前と電話番号の書いた札が吊り下げられているので、電話をして罠の場所を確認して山に入ります。


孟宗竹は太く、長さも長いため1本倒すだけでも一苦労です。近くの竹や木に引っかかってしまうことが多いため、重い竹の元を持って出口の方向に歩きます。またうまく切らないと思った方向に倒れてくれず、変な方向に倒してしまうと、あとで運び出しに苦労することになります。


たくさん生えているように見えても、実際切るとなると曲がりや竹の質を見ながらの伐採になるので、その場所でそんなに多くは切れません。また竹虎で欲しい大きさは元の直径が11~9cmほどですので、元のほうの大きい部分は切り捨てて、欲しいころ合いの部分からカットします。


選別しながらの伐採ですし、孟宗竹はあまりまとまって生えていないので、数ヵ所での伐採です。各地でよく見られる孟宗竹ですので、いくらでもあるように思われがちですが、実際使うとなるとなんでもいいのでもなく、良い物を探して切るとなるとそんなに簡単ではないのです。

まつりの準備

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毎年恒例のお祭りの準備が始まりました。新潟県内のあるお祭りの灯篭の骨組みの材料として、数年前から割竹をご注文いただいています。4mの竹を1~2cmほどに割り、節を取って発送しています。今年からは力をつけてきた若い職人に材料作りを任せています。


竹で骨組みを作り、それに紙などを貼るのですから、竹の種類や色は関係ないとのことでした。竹虎が主に扱っている竹は虎竹で、その虎竹で材料を取ると、費用的にも高くなってしまいますので、色付きの悪い虎竹では出荷できない物を使って製作しています。


地元の商工会や町内会などが主体で作られているようなのですが、最初に写真を見たときにはその灯篭の大きさや出来栄えや精巧な作りにすごく驚いたほど立派なものでした。


自分たちも小さいながらも毎年夏まつりや天満宮の秋の大祭などの準備に追われます。その上に年竹を使って骨組みをし、紙などを貼って灯篭を作るなんてとても考えられません。関係者さんたちの苦労はどれほどだろうといつも頭の下がる思いです。


でもきっと地域の伝統を守ることの大切さと、それを守っていく誇りで毎年のこの灯篭作りをされているんだろうなと思います。そしてそんな想いの素晴らしい仲間がたくさんおられて、きっと素晴らしい地域なんだろうなと思います。


それは毎年の担当者さんとのやりとりの中でも感じます。竹の材料を準備するだけですが、竹虎からずっと離れた地域の伝統を守ることに少しでもお役に立てることが嬉しいと感じる材料作りです。

長い巻き竹

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巻き竹とは孟宗竹で組んだ袖垣の枠部分に巻いて、孟宗竹を隠し、虎竹や白竹の枠に見えるようにするために巻く、割竹のことを言います。


今回、6mと11mの幅の光悦寺垣の枠を巻くために、7m近い長さの巻き竹を割ることになりました。6mの物は1本で、11mの物は途中で継ぎながら枠に巻きつけていきます。


まず直径7センチほどの竹を菊割りという道具で8等分に割り、そしてその1枚1枚を今度は竹割り包丁で4等分にしていきます。手で小さく4等分に割っていくほうが難しいように思えますが、こんなに長い竹を菊割りで均等に割っていくのは、同じくらい難しいことです。


竹割り包丁で割っていくのは、割りながら少しずつ修正をかけて、真っ直ぐに割っていくことができますが、菊割りという道具で割るのは割り幅が違ってきても、なかなか修正が効かないからです。ですから出来るだけ均等に竹に割れ目を入れ、できるだけ真っ直ぐに、均等に力をかけながら割っていくしかありません。


実際巻きつけた巻き竹を見てもなかなか気づかないかもしれませんが、綺麗な巻き竹を割るには、それなりの経験とテクニックが必要となってくるのです。

竹の凹み

竹 黒竹 枝


竹虎工場横の川べりには黒竹が生えている一角があるのですが、今年も新しい竹が生えてきました。竹はたけのこから成長するのに1日で1m以上も伸びることもあるくらい成長が早いことで知られていますが、この黒竹もあっという間に伸びてきました。


細いたけのこから、皮をかぶったまま成長していますが、先の方になるとその中に枝を格納しており、幹を伸ばすと同時にその中の枝も伸ばしながら、皮が落ちるとそのまま枝を広げられるようになっています。


竹は2~3ヶ月で上への成長は止まり、それから少しづつ、固くなっていくために、この状態の竹はまだまだ柔らかいままです。その状態で枝がたけのこの皮の中に格納されているので、竹の先の方の枝の出ている部分の上側には凹みがついてしまうようなのです。


長いヒゴなどを取る場合はその部分には枝があり、凹みがあるので、それを避けて使うことになり、その部分は使えず、無駄となってしまう場合が多くあります。しかしお茶の道具の茶杓ではその凹んだ部分を桶(ひ)と呼び、その凹みを価値のあるものとして捉えているようです。


茶道は解釈の違いや、流儀などにより呼び方ややり方の違うことが多くあるようですが、その部分は凹んでいるために、お茶をすくいやすいということがまずあるようです。


その部分を竹の先の方から使うか、元のほうから使うかで、本樋とか逆樋などと呼び、樋の形の違いなどからくる、茶杓の違いなどを楽しまれているのではないでしょうか。


ヒゴなどを取るのには邪魔な節の部分や凹みも、竹によって多少の違いもあり、茶杓のように、その凹みを面白い物として見て、使うことができる竹という素材は本当に面白い物だと思うのです。

黒竹の山

手入れ後の黒竹竹林


虎竹の里では山の職人さんの高齢化や後継者不足もあり、年々山に入って竹を切る人が少なくなっていることが課題の一つとなっています。黒竹も例外ではなく、年々山に入る人が減り、また伐採しないことで竹が増えすぎて、立ち枯れや雑草などで山に入れない状態のところも多くなっています。


以前は山の職人さんも何十人もいて、虎竹や黒竹は黙っていてもどんどん入荷していた時期もありました。そのため竹虎としての山の仕事は、伐り出された竹を山まで取りにいくまででした。


自分が山の担当になった頃に、竹の伐採の仕方、竹山の場所や山によっての色付きの違い、山の職人さんによっての切り方の違いなどを勉強するために頻繁に山に入って行きました。これまで山まで入っていなかったので、山の職人さんに大変驚かれたのを覚えています。


でもそのおかげでいろんな山が見え、いろんな虎竹が見え、いろんな山の職人さんを知ることができたので、それは本当に良かったと思っています。


しかし黒竹に関しては今までのように伐採された竹を山に取りにいくまでというやり方でずっとやってきたので、その山から出てきた黒竹しか知りませんでした。この冬は入らなくなった黒竹の山に入らせてもらえることになりました。


手入れ前の黒竹竹林


ほんの2年ほど入っていないだけなのに、竹がたくさん生えて、立ち枯れしているものがたくさんあります。下草や木も生え放題になっていて入って行くだけでも苦労するところもあります。その立ち枯れの竹と下草や小さな木を刈って整理して、伐れそうな黒竹だけを倒していきます。


大変でしたが、これで新しい黒竹が生え、陽も入って、いい黒竹が育ちそうな気がします。来年からこの黒竹の山を育てていくのが楽しみになってきたのです。