籐巻き修理

籐巻き修理


8年前にお買い上げいただいた白竹八ツ目バスケットの縁を巻いていた籐が切れたとのことで、修理に帰ってきました。8年も使ってもらっていると、竹も持ち手の籐もいい色になってきています。新しく巻き直すと、どうしても色が違ってしまいますが、これはこれで味のある籠になるのではないでしょうか。


籐は強い素材とはいえ、長年使っている間に擦れたり、当たったり、乾燥し過ぎたりして切れてしまうということはよくあることです。今回も擦れによって切れたのではないかと思われる切れ方で、数ヶ所も切れていたので、部分修理ではなく縁全部を巻き直すことにしました。


同じサイズの籐が無かったため、少し幅の広い籐の幅取りから始めます。籐は竹に比べると格段に柔らかい素材なので、竹と同じように幅を取っていると幅取りの刃が籐に食い込み、切れてしまったり、うまく幅を揃えることができません。


刃が食い込まないようにいつもより幅取りの刃の角度を立て、一度でその幅に合わせるのではなく、少しずつ幅を取って行きます。そうやって幅を揃えた籐でやっと巻き始めます。


藤巻きは籠の縁を巻いて止めたり、角の補強に使ったり、実用的な部分と併せて、巻き方や飾り方によって装飾にも使え、大変便利で面白い作業です。また仕上げで使うことが多いため、使う籐の質や巻き方、仕上げ方によって、その籠の見栄えや出来を左右する大事な作業でもあります。


今回は簡単な巻き方ですが、それでも籐を水に浸けておいて柔らかくしてから、要所要所を引き締めながら緩まないよう締めていきます。気を遣うのは締め方と、籐の継ぎ部分くらいです、籐巻きによって縁部分がギュッと締まった籠は、それだけで籠が引き締まって見えるのです。