山境の杭

山境の杭


虎竹の伐採時期も終わり、あとは伐り倒した虎竹の枝を払ったり、運び出し作業のみとなりました。短い冬の間だけの伐採時期で1年分の材料を確保しなければなりません。竹虎所有の竹林もありますが、山主さんにお願いをして虎竹を伐らせてもらっている山も数ヶ所あります。


切り子さんと呼ばれる虎竹専門の伐採職人さんたちが伐り出して来てくれる山もありますが、自分たちで山に入って伐採をしている山もあります。どちらも山主さんから虎竹を買い取る形で、大きさや色によって細かく分けられた値段で虎竹の買い取りをしています。


山も宅地と同じように細かく所有者が分かれています。自分が知っている境で多いのは谷であったり、目印の木が植えられてあったりすることが多いです。竹虎所有の山も片方は谷、もう片方は杉が真っすぐに植えられいる部分があり、それが隣との境界とされています。


谷のほうはわかりやすいのですが、杉林の中での境界の杉を知っている人はもう多くは残っていません。山に入っているからこそ知ってはいますが、山に入らない人には境界がわからない人も多いようです。


この山は竹林の中に境界があり、分かりづらいからかこのような境の杭が打たれています。竹林の中の境はそこだけ木が植えられていたりしており、このような杭を見るのは本当に珍しいです。これが境かなと思える木はありますが、そもそもそれを知らないと境がわかりません。


昔は山に入っていた方の子どもさんやお孫さんのほとんどは、今は山に入らず、境さえ知らないことが多く、竹を伐りたくても所有者が曖昧な場合は伐ることもできないので、こういうはっきりとした境の目印は大変ありがたいと思っています。


こうやってしっかり境も分かり、所有者も分かれば、その方の代わりに山を管理させてもらいながら、この場所の虎竹を守っていくことができます。なんてことないただの杭ですが、これが立っているだけで山主さんの山への愛着や山を大事にされている感じが伝わってきて、それだけで杭の立っている山は好きなのです。