草刈りと竹切り

山道,虎竹の里,高知県須崎市安和


先日、虎竹の里の草刈りが行われました。安和青壮年会では年に2回、安和駅、安和交流会館、安和小学校、放棄畑や小学生がお米を作っているあわたんなどの草刈りをしています。自分たちの地域で出来ることは自分たちでやろうという取り組みで、当たり前のようにみんなが集まって自主的に草刈りをしています。


特に安和駅は海岸が真下に見える綺麗な駅で、地域の人にとって言葉には出しませんが、この地域の自慢できる、それぞれの想いのある大切な場所です。自分にとっても高校生のころにはこの景色を見ながら毎朝通学した思い出深い場所となっています。


春と秋にこの草刈りは行われますが、秋の草刈りのあとには竹の伐採があります。これは安和天満宮の秋の大祭での竹練りという踊りに使用する竹を伐採するためです。花取りを教える郷土芸能保存会や神役などもありますが、天満宮の大祭の行事の段取りは主に青壮年会に任されています。


1年に1回、神様が御旅所まで出ていきますが、その道を竹を割りながら清めていく竹練り踊りやそれを警護する天狗役など、神事に欠かせないものを受け持っています。前日の祭りのふれ太鼓や、提灯設営、当日の出店なども青壮年会の役目です。


安和で生まれ育った子どもはほとんどが花取りや竹練りを経験します。そのことで天満宮のことを知り、地域の大人を知り、自分たちがやらないといけないことを知ります。そして大人になったら今度はそれを子どもたちに伝えていくという役目があります。そのおかげでこんなに小さい地域でもなんとか人が集まり、続けられているように思います。


竹練りの竹も自分たちで切ることで、日本唯一ここでしかない虎竹があることを直に知り、山に入り、伐り方を学べます。そんな経験が若い人たちの心の中に少しでも残れば嬉しいなと思います。そしてこの大好きな地域のために一緒に動く仲間がいて、その中で自分も何かできるということは幸せなことだと思うのです。


山道,虎竹の里,高知県須崎市安和

山道の整備

山道,虎竹の里,高知県須崎市安和


虎竹の伐採時期を控え、山道の草刈りを行っています。山といっても一般の土地のように細かく分けられていて、それぞれに土地の所有者がいます。宅地のようにはっきりとした境界はなく、谷川や目印となる木を植えてそれを境界としていることが多いです。


竹虎の土地も一方は谷、もう一方には木を真っすぐに植えて境界としています。この境界を知っているのも自分以外には、以前にこの山の虎竹を伐ってくれていた切り子さんくらいしか知りません。竹虎の山でさえ、それくらいの認知度ですので、他の山主さんの境界も山主さん以外ははっきりとわからないことが多いようです。


以前はこの山の山主さんも元気で、数人が切り子さんとして虎竹の伐採をしていましたので、焼坂地主会という会を作って毎年この山の所有者で草刈りや道の整備をしていました。山主さんの高齢化に伴い焼坂地主会も解散し、数年前から竹虎で山道の整備をさせてもっています。


舗装された道ではないため、台風や大雨などでどうしても道が崩れたり、削れたりするため、2年に一度は重機をいれた整備を行います。その重機をいれるための下準備がこの草刈りです。


自分たちが毎年虎竹を取りに通うこの道を自分たちで整備することは当たり前のことなのですが、以前までは誰が整備してくれているのかさえ考えずに当たり前に整備された道を通っていた社員や職人にこの作業をやってもらいます。


仕事は増えますが、実際に自分たちでやることでいろんなことに気づき、考えるいいきっかけになります。虎竹を知ることはこっから始まっているのです。