虎竹パテーション

竹虎,須崎市,安和,虎竹,職人


数年前に施工させていただいたランの展示場の虎竹パテーションを延長するご依頼をいただきました。そこは温室のような作りで、陽がふんだんに入るガラス張りの展示場で、以前は立て簾を立てて、陽が入りすぎの時などは日光の調整をされているようでした。


日本唯一の虎竹を大変気に入ってくださっている社長さんで、他の展示場や併設の喫茶店、そしてご自宅にまで虎竹をたくさん使っていただいています。前回その日よけの立て簾をなんとかしたいとのご相談をいただき、いろいろとご提案をさせていただいた中で低い虎竹パテーションとブラインドの併用と決まり、施工をさせていただいておりました。


大きな展示場ですので全面の施工はせず、入口の両脇付近だけの施工でしたが、今回はその奥に同じ虎竹パテーションを延長施工しました。事前打ち合わせと採寸はしっかりとやりましたが、施工箇所にパイプがあり、それを微妙にかわしながらの施工の為、おおまかに作っておいて、あとは現場で合わせながらの施工です。


パイプに当たる部分は枠組みを作り変えるつもりでいましたが、格子をカットするだけで取り付けできたので、無事施工ができました。格子を組んだだけのシンプルなパテーションですが、格子の幅や間隔、飾り竹の太さなどで印象は違ってきます。格子を縛るのを黒い棕櫚縄から四万十カズラに変えただけでも大きく見た目は違います。


綺麗に並んだ格子の間隔や、横から見ると一直線に並んだカズラの結び目の美しさはシンプルな格子垣ならではのものです。虎竹はやっぱりシンプルな使い方が一番きれいだと感じた施工となりました。

目打ち作業

竹虎,須崎市,安和,虎竹,職人


竹には枝がついているので、伐採後そのままでは束にしたり運搬ができないので、山で枝を払って落とします。枝は上方向に生えているため、上方向から下方向にそのまま枝ごと取り払ってしまうのを逆打ちと呼んでいます。


でもそれでは竹表皮の皮ごと剥いでしまうので、虎竹のように竹表面を綺麗に使いたい場合は、枝の生えている方向に鉈を振り、枝の付け根を残して枝を取り払います。これを竹虎では本打ちと呼んでいます。


製竹の際に、その残った枝の付け根を取る作業をしなくてはいけませんが、こうしておくと竹表皮を剥ぐことなく、綺麗なままでの製竹ができるのです。その残った枝の付け根部分を取り除く作業を目打ちと呼んでいます。


竹の節部分に鋸を当てて枝の付け根に切れ目を入れ、鋸の背部分でその枝部分を払って取り除きます。この作業で注意することは鋸で切れ目を必要以上に深く入れすぎないことと、少し斜めに鋸を入れていくことです。


曲がった竹をまっすぐにする矯め作業では、曲がった竹を節部分で伸ばしながらまっすぐにしていきます。鋸目を深く入れすぎてしまうと、その部分を伸ばした際にそこから折れてしまう恐れがあるからです。また斜めに入れるのは竹に触った場合にケガをしないようにできるだけ角が立たないようにするためです。


毎年のインターンシップ生にも体験してもらっているような、初心者でもすぐにできる簡単な単純な作業ではありますが、この作業の意味やこの後の作業をどのように進めるか、枝を取り払った跡が目立たない目の打ち方など、考えることはたくさんあります。


入社したての若い職人がこれを単純な作業として1日やるのと、いろいろ考え、試し、1本1本違う竹を感じ、自分のした仕事を見てまた考えることを繰り返しながら1日やるのでは、この先の成長に大きな違いが出てきます。


単純に見える仕事の奥深さを、せめて自分たち職人だけは知っておかなければいけません。この仕事を楽しめるかどうかは本人次第です。どうせやるならいろいろ考え、気づき、自分のやっている仕事に誇りを持ち、まだまだ未熟な自分を認め、少しづつ分かったり、出来るようになっていく竹屋の小さな楽しみを見つけて欲しいと思うのです。