虎竹の伐採も今月いっぱいとなりました。竹は種類によって伐る時期は違いますが、だいたい秋から冬にかけての寒い時期に伐るとされています。この時期は水あげが少なく、竹が締まっており、養分も少ないということで腐りにくく、虫も入りにくいとされています。
この場所は山の頂上なのですが、長い竹が多く、下りていく道も狭いので、ここである程度の規格にカットしてから持ち帰ることにしました。この先は車は行き止まりですので、上がってくる車もほぼいないため、道をいっぱいに使っての作業です。
発電機と丸のこも持っていましたが、いろいろな大きさの竹を集めてきた順に色や竹の良し悪しを選別しながら切るとなると、手引きのほうが早いくらいだったので、結局全部手で引くことにしました。
普段は竹虎工場内に持ち帰り、切断場でカットする作業も、山の中でやるとまた新鮮な気持ちになります。一緒に行った若い職人二人と弁当を食べ、天気が良かったおかげで山の中でも照明を付けずにやれることに改めて太陽のありがたさを感じ、自然の中で、この虎竹の里の中で生かされていると感じた貴重な一日となりました。
古い職人が退職されたので、今まで以上に若い職人に仕事を覚えてもらおうと思っています。今回はあいばんと呼ばれる竹の切断をやってもらいました。トラックに載せて、山から取ってきた竹をここで台に下ろして切断するという、竹虎工場内での一番最初の作業で、一番大事な作業でもあり、一番難しい作業でもあります。
虎竹を切断するには1本1本色や大きさで選別して買い取った竹を、また1本1本色の付き具合や大きさや、その竹自体を見ながら切断しなければならず、まだまだ若い職人には無理ですが、それに比べ黒竹はまだ切り分ける種類が少なく、色の違いも少ないので、黒竹の切断から覚えてもらっています。
色や大きさを見ながら、15尺、13尺、10尺、6.5尺の規格の製品の長さに切り分けます。その先をまた1m、1mの垣用、枝折戸の横桟、縁台用の竹などに切り分けていきます。若い職人と言っても、もう5年目ですし、竹をまっすぐにする矯め作業もこなせる職人なので、初めてにしては問題なくできていたようで安心しました。
虎竹を切る場合はこれに、15尺でも用途や行先によって竹を見て切り分け、竹垣の柱を巻く巻き竹の各種、、枝折戸を編むへぎ竹用、細工や節間用に取るタルキ、細工用各種、縁台の縁用の竹、飾り竹炭用竹、手ほうき用、自在垣用、四ツ目垣用など、その竹の色付きや大きさ、素直さや節間などを見ながら、最適な用途を見つけて切り分けていくことが必要になってきます。
山から伐り出された虎竹は竹虎工場内に運ばれた段階で、この切断場で切断する人によって、用途を決められカットされます。26通りにも細かく選別され、買い取ってきた虎竹をいかに効率よく、その竹を最適な用途にカットするかは、切断する人の判断にかかってきます。
そういう意味で、この切断する作業は竹虎工場での一番大事な作業です。またここで虎竹を切るということは、虎竹の里から出てきた竹をすべて見ることにもなりますし、ここから出ていくすべての虎竹の行方を決めるという大切な役目でもあります。
この場で虎竹を切れるようになるのが虎竹と竹虎工場の仕事を少しはわかったという最低限の目安です。伐採したり、割ったり剥いだり、加工したりと、まだまだ覚えることはたくさんあります。でもその前にまず竹屋として虎竹をちゃんと知るということができてからが、本物へのスタートだと思うのです。