60cmサイズの竹ざるが出来上がってきました。まだまだ竹が生しく、暖かくなるこれからの季節はカビの心配もあり、出来上がってきた青竹の籠はこうして陽に干してある程度乾燥をさせてから、保管をしています。
竹は吸湿性が高く、どんなに乾燥していても湿度の多い日が続いたり、湿気のあるところに密封しておくと、竹が湿度を吸ってカビが生えることもあります。ですからこのような籠は風通しの良い、できるだけ湿気のないところでの保管をお願いしています。
本当は毎日使っていただくと、カビや稀に出る虫の害も早期発見でき、カビならすぐに拭き取って干してもらったり、虫ならその箇所に熱湯をかけてもらって虫の害を最小限に食い止めることができます。いつも使っていただくことが、その籠を結果的に長く愛用できることに繋がるのではないかと思っています。
この籠は網代編みという編み方で作られています。この編み方はござ編みなどの骨ヒゴに編みつけて行く編み方とは違い、まんべんなく、同じ本数の立てヒゴと横ヒゴで編んでいくので、ヒゴを大変多く使うため、ヒゴ取りや編みに多くの時間を使います。
またヒゴの厚みが厚ければヒゴを詰めて編むことが出来ず、薄ければ編みやすいですが柔らかく弱い籠になるため、ヒゴの厚みの調整をヒゴ取りの段階でしっかりとしておく必要があります。
でもこの籠で一番難しいのは、なんといっても平面に編んだ網代の生地を立体に起こしていく所です。丸く切った網代編みを、その丸より少し小さく作った丸い縁に押し込みながら、立体的に立ち上げていきます。
その時に大事なのはやはりヒゴの厚みです。薄くて柔らかければ張りがなく縁から外れ、厚くて硬すぎると丸い縁に沿って起き上がってくれません。薄すぎず、厚すぎずの絶妙な厚みが、縁をつけながらの起こしやすさに繋がって来ます。
そう言う意味でもやはり竹細工はヒゴ取りが一番大事で、その微妙な調整をしながら作り上げてくる職人さんは本当にすごいなと、入ってくる籠の出来具合を見るたびに、そう思うのです。