数寄屋草履とは露地を歩くときに履く、竹皮などを二重に編んで作った草履で露地草履ともいいます。露地とは茶室や草庵の庭、門内や庭の通路を指し、お茶の席で使われることが多いようです。
今回、その数奇屋草履の裏に竹皮健康スリッパのようにスポンジを貼ってもらえないかと問い合わせがありました。雨などで底が濡れたり、足が少しでも濡れないようにということでした。
本来お茶の席なのでは雨や雪の場合は足元が濡れないように数寄屋下駄を履くとしたものらしいのですが、今回のお客様は普段履き用に竹皮の鼻緒のものが欲しいということで、スポンジを貼ることになりました。
初めてのことでうまく貼れるか少し心配もしましたが、綺麗に貼れて一安心です。お客さまにも喜んでいただけるのではないかと思います。小さい事ですが、ちょっとした要望にも柔軟に、そしてその要望に応えていけるような、物作りのできる竹虎でありたいと思うのです。
お百度参りとは、内容が藁をもすがりたいというような切実な場合が多く、一度の参拝でなく何度も参拝することで、その願いが成就するようにと願う方が参拝する方法の一つだそうです。
昔は願いを叶えるために同じ社寺や神社などに百日間、参拝するもとされていたようですが、百日間通うことの困難さや、その願いを一日でも早く叶えたいという思いもあり、現在では1つの場所で参道から本殿までを続けて百回お参りする事も多いようです。
そのお参りする回数を数えるのではなく、数を間違えないようにするのと、想いを集中できるようにと、こよりや一円玉や竹串を持って、それを置き、回数がわかるようにするようです。先日、お百度参り用に指定のサイズで竹串を作れませんかというお問い合せを頂きました。
竹を指定のサイズにカットし、指定の幅に割るだけの簡単なものではあるのですが、その竹串の意味の重さを思うと、お金を頂き、作製することに少し躊躇しましたが、お役に立たせていただきたいという想いから、作らせていただくことにしました。
どんな商品でもそうなのですが、物を作るときにはいつも使っていただく人の満足感や笑顔、そして使い勝手や耐久性などを考えながら製作しています。しかし今回の製作はいつもとは少し違います。自分には計り知れませんが、お百度参りをされるほどのお客様の願いがどうか叶いますようにと、願いながらの製作になったのです。