竹を割ったり、剥いだり、編んだりする時には一般的には手袋などしませんが、山に入って竹を切ったり、トラックに積み込んだり、束にしたりする場合には手袋をはめて作業をします。手袋にもいろいろあって、軍手やゴム手袋、皮手袋など様々で、用途に応じて使い分けています。
自分がいつも使っているのはゴム張り手袋と言って手のひらの部分にゴムの貼っているものです。これは通気性もあり、柔らかく、すべらないという点で一番使いやすいと思うのです。冬の朝、山に行くと夜露で竹が濡れていても、滑らず、ゴムを貼っているので濡れにくいという点でも、この仕事には最適な手袋だと思っています。
私が入社したころにはトラックも何台もあり、山にも毎日ひっきりなしに竹を取りにいくほど竹も出ており、それに従事する社員さんも何人もおりました。その時の先輩社員さんたちがみんなはめていたのが、このゴム張り手袋でした。
その先輩たちにならってこの手袋を使いだしたのですが、竹を運んだり、扱う分にはこの手袋はクッション性もあり、荒い作業をしても手が痛くなく、みんなが使っている意味がよくわかりました。
しかし竹を出荷する時に荷造りとしてきっちりヒモでしばっていく時に、この手袋は厚みがあるために細かい縛り方が非常にしづらくて、慣れるのに随分と時間がかかったことを覚えています。しかし何十束も束にしていると締め上げたヒモが手に食い込んで、痛くなってきます。それを和らげてくれるのもこの手袋でした。
もう30年近くもこの手袋を使っていて、他の手袋を使う気にはなません。すべる軍手でトラックのロープを締め上げても締りません。一日中山で鉈を振る時もすべる軍手とすべらない手袋では能率や疲れ方も違ってきます。この手袋も大事な仕事道具の一つなのです。