毎年、11月3日は安和天満宮の秋の大祭です。天満宮のお祭りは1年で何回もありますが、秋は一番大きなお祭りとなっています。農業が主体で、その一年の収穫によって暮らしが大きく左右されていたころは、春の祈願祭が本当に切実なものであったと聞きますが、今は感謝の意味合いの強い秋のお祭りが一番盛んになっているようです。
小さい地域の神祭ですので、地域の人たちが交代で神役になり、いろんな役目を分担しながら続けています。出店も以前は2軒ほどが来てくれていましたが、今は何もなく、来てくれた人の楽しみがないということで、地域の青壮年会がたこやきや焼き鳥、おもちゃなどの出店を出しています。
このお祭りではお旅所と呼ばれる場所に神様が出ていくおなばれという行事があります。その神様が出ていく道を清める意味で竹を持って練り歩き、ところどころでその竹を打ちあう竹練り踊りという踊りがあります。
地域の若者が踊る踊りで、この地域のほとんどの男性はこの踊りを体験しています。数か月前から練習を始め、地域の大人から踊りを習いながら交流し、またこの切な神祭に大切なお役目で参加するということが、この地域や人を知り、親しみや誇りを持つことに繋がっていると感じます。
その竹練りで使う竹は以前は竹虎で用意していた時期もありますが、今は青壮年会のメンバーで竹を切りに行っています。虎竹の山をそうそう見る機会もなく、竹を切る機会もないメンバーに竹山に入ってもらい、切ってもらうことにもまた大きな意味があると思います。
まずどこの山に入るかを決めて、山主さんに了解を得て山に入ります。虎竹の山ですので、色の無い、古い竹を選び、また竹練りに使える大きさを選っていると、そうそう切る竹もなくて、山の中をあちこちと探し回りながら切っています。
急な斜面を登り、歩き、竹を切り、枝をはね、竹をひっぱり下ろす作業は決して楽な作業ではありません。しかし地域のためには当たり前にやらないかんことだという意識がメンバーの中には普通にあります。
花取り踊りは6月から、竹練りは9月から週に2回の練習を重ねます。この神祭もたくさんの人の手助けがあり、踊りを踊る人もそうですが、毎年それを教える人のおかげもあって続けていけています。この地域の伝統を残し、地域を守る気持ちを本当に持って活動している人がこの地域にはたくさんおられます。
この地域が好きというのは、そこに住む人たちが好きだということだと思います。こんな田舎ですが、まずこの地域や人を好きになってもらい、ここに残り、住み、この地域を守り続けていってくれる人が一人でも増えることを願いながら、自分でもまずこの大好きな地域のためにやれることをやるしかないと思うのです。