下駄の前金

下駄の前金


前金とは下駄の鼻緒をすげた時に、前ツボの部分を隠すための金具のことです。昔は土の道だったために、裏側の前ツボ部分が汚れないようにとか、鼻緒部分が擦り切れないように保護をする金具です。


店によってその金具が違っており、その金具でどこで買ったのか分かるということもあったようですし、地方によって前ツボのすげ方が違っていたり、上手下手があったりで、それを隠す意味合いもあったようです。


昔の江戸っ子は金具で保護をして長持ちさせるのがケチくさいと捉えていて、前金をつけないのが粋だと思っていたようで、金具をつけずに履いていた人も多かったようです。


竹虎では虎竹男下駄や竹皮男下駄、竹皮女下駄などにこの前金を打ちつけています。やはり前ツボの部分は隠しておいた方がすっきりしますし、豪華にも見えるのではないでしょうか。しかし桐材は非常に柔らかくて、釘が抜けやすくなるので、少し斜めに打つようにしています。


おしゃれは足元からとよく言われていますが、下駄の裏側のこんな小さな金具一つとってもいろんな考え方や、伝統や風習があって、本当に面白いなと思います。そんなことを知っていると、下駄にも興味が湧き、鼻緒をすげるのも楽しくなってくるのです。