先日、日本唯一虎竹の里に突然の寒波がやってきて、山にうっすらと雪が積もっていました。もう12月ですし、南国高知といえども寒波が来て雪が降ることなど年に数回あって、そんなに珍しいことでもないのですが、こうして寒くなることは、ある意味自分の中では嬉しいことでもあるのです。
虎竹の山は、そこに生えている竹すべてに色がついているわけではなく、色のつく竹とつかない竹とがあります。どうして表面に虎皮状の模様が入るのかは幹に付着した寄生菌の作用との説もありますが、はっきりとしていません。どうして色のつく竹とつかない竹ができるのかも、はっきりとしていないのが現状です。
ただ、色のつく竹はその周辺の色のつく竹と地中の根で繋がっているようなので、色のつく竹は色のつく根から生えるようなのです。ですから、虎竹を伐採する際には色のある虎竹を全部伐採するのではなく、その根や繋がっている竹を弱らせないように、親竹を少しづつ残しながら伐採をすることが大事なことなのです。
そんな虎竹の色つきに大きな影響があるとされているのが、気温です。これも確証があるわけではないのですが、山の切り子さんたちの間では昔から気温が下がると虎竹の色がつき始めると言われています。
実際初霜が降りた後に山に行くと、確かに降りる前より色がぐっと色がついてきたと感じることが何度もあり、自分でもそう実感しています。伐採シーズンになってもまだ寒さが来ないので山に入らないという声もよく聞かれることで、寒さが来て色がつくのを待っている切り子さんもおられます。
寒いのは苦手ですし、四国の高速道路は雪ですぐ止まります。あまり冷え込むのも困りものですが、この寒さで虎竹の色がついてくれると思えば、それはそれで嬉しい寒さになるのです。